SEASON REVIEW 2023

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FAN ENGAGEMENT

ローカル露出強化に向けた取り組み

ローカル露出拡大への一歩 サッカー応援番組の立ち上げ

日本サッカー協会(JFA)とJリーグは、各地域のサッカー協会やその地域のJクラブ、各ローカル放送局と連携し、2023年4月より30地域(45都道府県)でサッカー番組「KICK OFF!」の放送を開始した(福島、富山、愛媛、熊本、鹿児島の5県は2022年10月に先行開始)。
各地域でのサッカー番組開始は「60クラブが、それぞれの地域で輝く」というJリーグの成長戦略実現に向けた第一歩である。サッカー番組開始をきっかけに、サッカーの普及、各地域におけるサッカーならびにクラブの関心向上とスタジアムへの来場促進、そして各地域でクラブがより輝く存在にしていきたい、という思いを込めている。
「KICK OFF!」では、試合結果報道や選手の意外な一面が垣間見えるコーナー、ホームゲームの裏側などのJクラブ情報だけにとどまらず、少年少女年代や高校サッカー、シニアなど、各地域のサッカーに関する話題をエリアごとに特徴を持たせて放送中だ。
「KICK OFF!」放送開始によって、ニュース・情報番組などでのサッカー関連情報の露出量が2022シーズンと比べ11.9倍に増加している。ニュース・情報番組などで報じられることは、幅広い年代にサッカーに触れていただくことができる貴重な機会と捉えている。同様に試合中継数も2022シーズンと比べて約1.4倍となっている。他にも、2023年10月から、TBSの「KICK OFF! J」を番組化、テレビ東京で「サタデーナイトJ」の放送を開始した。
2024シーズンも、一人でも多くの方にサッカー、そしてJクラブに関心を持っていただき、スタジアムに足を運ぶきっかけとなるよう、全国各地でのサッカー情報露出拡大を推進していく。

Jリーグに集う個性豊かなクラブにJリーグスタッフが寄り添いそれぞれの地域で輝く ~Jリーグスタッフが各Jクラブと協力し地域での露出拡大に奮闘。多くの地域でさまざまな取り組みが行われている一部の事例を紹介~

いわきFC
Jリーグはローカルエリアでの露出を増やすことで、サッカーならびにJクラブの関心度を高め、それによってサッカーの普及促進につなげることで、JリーグおよびJクラブの価値向上を目指している。そのためには、地域のメディアとの連携は不可欠であり、Jリーグもクラブと共に露出拡大に努めている。
2023年春より、民放放送局の新たな動きとして、福島テレビではいわきFCと福島ユナイテッドFCの応援番組「SATURDAY FOOTBALL FUKUSHIMA」が、福島放送では応援コーナー「ゲキ推し!いわきFC」が立ち上がるなど、地域の皆様に県内2クラブの最新情報を届けている。
また、NHK福島放送局では、今シーズンからスポーツ情報の強化として、いわきFCと福島ユナイテッドFCの選手インタビュー動画を、多くの方が視聴する夕方のニュース番組で毎週放送いただいている。県内で活躍する選手一人一人の個性を垣間見ることができ、視聴者にも人気のコーナーとなっている。
このように、NHK福島放送局から試合結果報道以外にも、日ごろからクラブの魅力が発信されているが、今シーズンはさらに【NHK×いわきFC×Jリーグ】が協力し合うことで、「もっと+αの地域貢献ができないだろうか」というお互いの思いの下、メディア×サッカーで実現できる新たな取り組みを模索。「地域でのファン拡大」もその一つとして捉え、夏には「いわきFCの迫力あるシーンを、VRを使った360°映像で体感!」という企画を実施した。
NHKはVRを使って「疑似体験」できるさまざまなコンテンツを制作しており、その技術をいわきFCと掛け合わせて、試合前にロッカールームで円陣を組む選手たちや、ゴールを決めた選手の歓喜の姿など、新技術を使った迫力映像を実際に体感いただけるようにすることで、普段サッカーに触れていない人たちにいわきFCを知ってもらうきっかけづくりになればというものだ。この映像は夕方の報道番組内で紹介された後に、8月のNHK福島局主催イベントやいわき七夕まつりで、さらには10月8日のいわきFCホームゲームで体験ブースを出展し、街中やスタジアムでのイベントを通じて多くの方に楽しんでいただいた。引き続き、NHK福島放送局とはメディア×サッカーで実現できる、新たな地域連携のスキームを探り続けている。

会場での告知イベント看板

©IWAKI FC

勝利の後に踊るいわきおどり「どんわっせ」

ヴァンフォーレ甲府
2023シーズンのヴァンフォーレ甲府は、J2クラブとして史上2回目のAFCチャンピオンズリーグ(ACL)を戦うこととなった。ホームスタジアムのJITリサイクルインク スタジアムの使用ができず、国立競技場で試合を開催することになったため、山梨県内での露出だけでなく、甲府の認知度拡大、関心度向上・集客につなげるべく、クラブと連携して首都圏での露出強化を図った。
クラブが、キャッチコピー「#甲府にチカラを」を用いた広告を首都圏へ出稿し、キャッチコピーや広告をフックとして首都圏の各メディアに露出することで認知拡大を目指した。また、さらなる首都圏での露出強化を目的に、グループステージのホームゲーム全試合で選手・監督出席の事前オンライン会見を実施し、在京メディアにも常に情報を展開した。
NHKでは、NHK甲府と協力してクラブスタッフに焦点を当てたドキュメンタリー番組を制作し、NHK総合でも全国放送されただけでなく、NHK総合「サンデースポーツ」と「おはよう日本」でも、甲府のACLでの奮闘が特集された。また、民放放送局ではTBS「KICK OFF! J」やテレビ東京「サタデーナイトJ」に選手が出演し、国立競技場開催をPRした。
ホームタウンから離れた東京での平日開催のため、国立競技場開催が決まってからクラブ内では集客面を非常に懸念していたが、クラブスタッフの努力に加えて、首都圏での多方向にわたる露出により「#甲府にチカラを」のムーブメントを起こし、他クラブのサポーターも巻き込んだ多くのJリーグファンに「応援しよう」という機運を醸成することができた。また、会場のファン・サポーターへの選手による”感謝の言葉”が各メディアから発信されたことも、多くのJリーグファンへ「#甲府にチカラを」のムーブメントを起こすことにつながった。
結果として入場者数は、平日夜にもかかわらず3試合を通して右肩上がりに伸び、ACL出場クラブで最も多い1試合平均13,311人の入場者数を記録した。クラブの特徴やカラーを発信し続けることで、ACLでの盛り上がりを2024シーズンにつなげていけるよう、引き続きクラブと強固に連携していく。

国立競技場に駆けつけてくれた他クラブのファン・サポーター