SEASON REVIEW 2023

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MANAGEMENT

Jリーグ海外事業

開幕30周年を迎えたJリーグ。
海外に向けては、放映権販売による放送に加え、未販売国についてはYouTubeでのライブ配信を拡充し、全世界にJリーグ試合視聴環境を届ける体制を初めて構築した。
ASEAN(東南アジア諸国連合)各国、特にタイでは同国籍選手を通じて、またインドネシアでは2.7憶人の人口と熱の高いサッカーファンへのアプローチに力を入れた。残念ながら、人気を7年間にわたってけん引した川崎フロンターレのチャナティップ選手がシーズン途中でタイに帰国。しかしその後、タイからエカニット パンヤ選手が浦和レッズに加入。AFCチャンピオンズリーグ(ACL)にも出場するなど活躍し、初期のタイ事業を引っ張った世代から、Jリーグを目指す次の世代の選手が台頭し始めた。
また夏にはマンチェスター・シティ(イングランド)を招へい。他にもFCバイエルン・ミュンヘン(ドイツ)、パリ・サンジェルマン(フランス)、セルティック(スコットランド)、アルナスル(サウジアラビア)など、世界の強豪チームが来日してJクラブと対戦。日本中のサッカーファンの注目を集めるとともに、国際交流が加速した。
浦和は5月に3度目のACL優勝を果たした。さらに昨今の日本代表の躍進、欧州トップリーグでの日本人選手のさらなる活躍など、フットボールにおいては世界トップレベルでも評価されつつある。今後、どのようにJリーグのさらなる価値へ転換していくか、ASEAN以外も含めた海外での事業機会の拡大が期待される。

ASEAN各国との交流促進

タイライフ Jリーグアジアチャレンジ2023/24 powered by 明治安田
2023年12月、前年の大会に続き、タイで3回目となるタイライフ Jリーグアジアチャレンジ2023/24 powered by 明治安田を開催。国内タイトルパートナーの明治安田生命保険相互会社をゴールドパートナーに迎え、初の冠大会となった。12月開催のムアントン・ユナイテッドvs北海道コンサドーレ札幌では、スタジアムでの観戦者の他、タイ国内で地上波放送により約90万人(推定)が視聴し、現地放送局のYouTube配信でも40万回再生を記録した。
2024年2月には同大会の第2戦として、BGパトゥム・ユナイテッドvsセレッソ大阪を開催予定。

タイライフ Jリーグアジアチャレンジ2023/24 powered by 明治安田

タイ
タイではJリーグの人気が継続した。北海道コンサドーレ札幌、川崎フロンターレで活躍し、タイにおけるJリーグ人気を長くけん引したチャナティップ選手が6月に日本を離れたが、その後、札幌のスパチョーク選手、また浦和に新加入したエカニット選手がJ1で活躍。また、タイの若手選手育成を目的に、2022年に続き、Jリーグユースチャレンジを10月にタイで開催。バンコク近郊の14チームが参加し、熱戦を繰り広げた。
ベトナム
10月に、ベトナムサッカー協会推薦のU-17エリート選手8人をJクラブアカデミーに招へい。水戸ホーリーホック、横浜FC、ジュビロ磐田に分かれ、それぞれのアカデミーのトレーニングに参加した。
選手を受け入れたクラブの育成関係者によると、Jクラブのアカデミーにも十分参加できるスキルを持った選手もいるとの評価があり、今後はこうした育成交流を通じた海外事業促進機会の創出をさらに模索していく。

Jクラブアカデミーのトレーニングに参加したベトナムU17エリート選手たち

インドネシア
インドネシアは、国民の約8割以上がサッカー関心層(Jリーグ海外市場調査より)というサッカー熱の高い国。2023年にはFIFA U-17ワールドカップが開催され、国内はサッカーの話題で盛り上がった。
2022年には、インドネシア出身のアルハン選手が東京ヴェルディ加入後に同クラブSNSのフォロワー数が10倍以上に増えたが、2023年はJリーグ、Jクラブがさまざまな形でインドネシアでの活動を実施した。
5月と12月には現地で計3試合のパブリックビューイングを実施。計300人を超えるインドネシア人ファンが集まり、Jリーグの試合観戦を楽しんだ。
湘南ベルマーレは、4月にインドネシアのエリートスクールAsiop Football Academyと提携。ジャカルタにAsiop×ベルマーレサッカースクールを開校。インドネシア人および日本人を中心に、湘南メソッドのスクールを運営した。
セレッソ大阪は6月に同じくエリートスクールであるAsiana Soccer Schoolと提携。C大阪が誇る育成、クラブ経営ノウハウを提供し、同スクールのユース選手の受け入れ、指導者派遣など長期ビジョンでの関係構築をスタートした。同時にインドネシア出身女子選手のセレッソ大阪ヤンマーレディースとの契約も実現。提携記者会見にはインドネシアサッカー協会会長や同国スポーツ大臣、また在インドネシア日本大使、ASEAN日本政府代表部大使も列席し、国内から50社以上のメディアが集まるなど関心の高さをうかがわせた。
この他、東京ヴェルディ、ヴァンフォーレ甲府がジャカルタでサッカークリニックを開催した。

インドネシアで実施したパブリックビューイング

湘南とAsiop Football Academyの提携会見

C大阪とAsiana Soccer Schoolとの提携会見

2023年にJリーグ在籍のASEAN出身選手
ASEAN各国との選手交流、レベルアップを促進するために、Jリーグではリーグ間提携国出身の選手を外国籍枠外で契約できる制度を設けている。2023年はASEAN出身の5人の選手がJリーグに在籍した(うち3人がJ1)。本制度の後押しもあり、2012年のアジア戦略開始時から12年間で延べ64人のASEAN出身選手がJリーグに所属した。

チャナティップ
2017-2022 札幌
2022-2023.6 川崎

スパチョーク
2022- 札幌

エカニット
2023.8- 浦和

アルハン
2022- 東京V

コンフォン
2016-2017 水戸
2023- 横浜FC

海外放映

海外放映実績
2023年の海外放映は、アジアを中心に、欧州、中東、アフリカ、オーストラリアを含む約20カ国で、各地域の放送局による放映を実施した。 また、その他の地域においては、J1リーグ戦毎節4試合を国際版の公式YouTubeチャンネル「J.LEAGUE International」で英語実況付きによる配信を実施し、放送局での放映と合わせ、全世界でのJ1の放映を実現。時差も少なく、現地語でのプロモーションも実施していたインドネシア、香港からの視聴が多く、アメリカ、ブラジル、英国からも毎節一定数の視聴が見られた。

SNSリーチ

国際版SNS
2023年は従来の英語版各種SNSを通じた情報発信に加え、タイ語、インドネシア語など多言語でのSNS発信にも力を入れた。国際版SNSの累計フォロワー数は全世界で330万、年間8.6億のリーチ(2023年12月現在)を記録した。

定点調査

▼タイ、インドネシアでJリーグ認知度の最高値を更新
2017年から継続しているASEANを中心としたJリーグの認知・関心度に関する定点調査を2023年も実施。
注力国であるタイ、インドネシアについて、認知度の最高値を更新した。
タイにおいては、欧州、アジアの複数の海外リーグの認知が減少傾向の中、加えて、タイでのJリーグ人気をけん引してきたチャナティップ選手のタイリーグへの移籍があった中でも、Jリーグの認知度を維持することに成功した。
インドネシアでは、前年比プラス4.5%と大きく認知を伸ばす結果となった。