Jリーグに新たな王者が誕生した。阪神・淡路大震災発生の1995年にチームが始動したヴィッセル神戸が、J1史上11クラブ目のチャンピオンとなった。序盤戦から好調を維持し、前シーズン優勝の横浜F・マリノスなどとの激しい首位争いを展開。9月の第26節でトップに立つと、残り1節となった第33節で2位の横浜FMに勝点4差をつけて栄冠を獲得した。アンデルソン ロペス(横浜FM)と並んで得点王のタイトルを手にした大迫勇也ら日本代表経験のある選手がチームをけん引。吉田孝行監督の植え付けた、攻守にハードワークをいとわないサッカーが見事に花開いた。
FC町田ゼルビアが初優勝を果たすとともに、初のJ1昇格も勝ち取った。今シーズンは、高校サッカー界の名指導者として数々の実績を残した黒田剛監督を招へい。守備を見直し、実力ある外国籍選手の補強、若手選手の成長などの効果も表れた。首位に浮上した4月の第10節以来、安定した戦いぶりでその座を譲らず、第39節で昇格条件の一つである2位以内、続く第40節で優勝が決定。前シーズンの15位から大躍進を遂げた。また、最終節で2位に順位を上げたジュビロ磐田が1年で、J1昇格プレーオフを制した東京ヴェルディが16年ぶりに、それぞれJ1復帰を果たした。
初優勝の愛媛FCが3年ぶりにJ2へ復帰することになった。7月の第17節から首位の座を明け渡さず、3節を残した第35節で昇格を決めるとともに、タイトルも手中にした。選手キャリアを愛媛で終え、2022年から2度目の指揮を執る石丸清隆監督の下、百戦錬磨の森脇良太や松田力などの経験豊富な選手と、谷本駿介、石浦大雅らの若手が融合してチーム力がアップ。21勝中、実に19勝が1点差勝利という競り合いの強さを発揮してリーグ戦を制した。一方、もう一つの昇格枠は、鹿児島ユナイテッドFCが最終節で2位を確定し、5年ぶりにJ2へ返り咲くことになった。
第30回を迎えた節目の大会で、6度目出場の横浜F・マリノスが初優勝を果たした。前シーズンのJリーグ王者である横浜FMと、天皇杯JFA第102回全日本サッカー選手権を制したJ2のヴァンフォーレ甲府の顔合わせ。先制したのは、30分にエウベルが決めた横浜FM。前半終了直前の44分には甲府のピーター ウタカに同点ゴールを許すも、61分に西村拓真が押し込み、2-1と勝ち越して栄冠をつかんだ。国立競技場でのスーパーカップ開催は9年ぶり。同競技場での同カップ史上3番目となる50,923人の大観衆がJリーグシーズンの幕開けを告げる熱戦を見守った。
アビスパ福岡が決勝で浦和レッズに2-1と競り勝ち、クラブ史上初のビッグタイトルを獲得した。リーグカップ戦史上最多の61,683人が国立競技場を埋めた決戦で、福岡は俊敏な紺野和也がサイドからチャンスメーク。5分の前寛之、前半アディショナルタイム4分の宮大樹の得点をアシストした。後半に入り、浦和はGK西川周作がPKを阻止し、交代出場の明本考浩が67分に1点を返したものの、福岡の堅守の前に涙をのんだ。決勝のMVPには先制点を挙げた福岡の前が選ばれ、大会のニューヒーロー賞には決勝でも先発出場した浦和の早川隼平(17歳)が選出された。
アジアのクラブチャンピオンを決めるAFCチャンピオンズリーグ(ACL)2022で浦和レッズが5大会ぶり3度目の優勝を達成した。2022年8月に決勝進出を決めていた浦和は、翌2023年4~5月にサウジアラビアの強豪アルヒラルとアジア王座を懸けて対決。アウェイの第1戦で前半に先制を許したが、53分に興梠慎三が同点ゴールをマークして1-1の引き分けに持ち込んだ。ホームの第2戦では後半開始早々の48分に相手のオウンゴールを誘って1-0の勝利。2試合合計2-1のスコアで、日本にタイトルをもたらした。大会のMVPには浦和の酒井宏樹が選ばれた。