SEASON REVIEW 2024

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FOOTBALL

Jリーグが推進するフットボール改革

日本サッカーの水準向上に取り組んでいるJリーグの足立修フットボールダイレクターと日本サッカー協会(JFA)の扇谷健司審判委員長が、今シーズンのオンザピッチにおける振り返り、選手契約制度の改定、若手育成、審判育成などさまざまなトピックについて語った。

― Jリーグフットボールダイレクターとして1年目のシーズンが終わりました。主にフットボールの質に着目されていたと思いますが、今シーズンのJリーグをどのように見ていましたか。

足立「J1からJ3まで、プレーの強度が上がっていたと思います。昨シーズンまでも現代のトレンドを意識して、模索しているように思っていましたが、今シーズンはさらにハイインテンシティ型、高い強度のフットボールにシフトして、日本が世界トップと戦うためのフェーズに入ったなという印象があります。ただ来シーズンはそれに加えて、質を高めていく必要性も感じています」

― 強度だけでなく質も求めると。

足立「もちろん質を求めるには、高い強度が前提になります。僕がサンフレッチェ広島で強化をしていたとき、ペトロヴィッチ監督や森保一監督ともポゼッションフットボールを志向したことがありましたが、ただ質を上げようと言っても日々のトレーニングの強度を上げないと質は上がらないんですよね。今の日本代表に選ばれる選手の特徴の一つは、高い強度の中でも高いクオリティを出せることです。ですから今シーズンのように強度が高くなった中でも、クオリティにより目を向けていくことが必要な時期にあると思います。特にアタッキングサードの質は重要です。例えば今シーズンのヴィッセル神戸は最後に仕留める3人(武藤嘉紀、大迫勇也、宮代大聖)がいて、あの強度の中で3人とも10点以上取っているわけで、優勝できた理由はそこにあると思います。逆に2位の広島、3位のFC町田ゼルビアはその点が足りなかった。アタッキングサードまで行けるクオリティはある中で、さらにゴール前のクオリティをどう求めていくか。ここは育成においても向き合っていかないといけないポイントです。前線を外国籍選手に頼るというチームもありますが、神戸は日本人3人が10点以上取っているわけで、各クラブでそのような環境をどうつくっていくかも重要なポイントになると思います。そういった点も含めてハイインテンシティ+クオリティ、これが来シーズンからJクラブの目指す一つのチーム像だと考えています」

― 育成の話が出ましたが、短い時間では成果が出にくい部分だと思います。現在のJリーグの選手育成についてどう感じていますか。

足立「今シーズンで一つ印象的だったのは、J2・J3で21歳以下の若手選手がどんどん出てきていることです。Jリーグは今年から21歳以下で印象に残るプレーをした選手を対象に、月間ヤングプレーヤー賞を設けていますが、J2、・J3で出番をつかんで対象になる選手が増えてきています。おそらくこれは選手たちも今の状況を分かってきているからですよね。J1に行って試合に出られないのであれば、J2・J3で試合に出てから次に行こうと、そういう時代に入っているのかなと思います。来シーズンはもちろん、彼らが同じチームでさらに頑張ってくれるのも良いですし、また一つ上のレベルで活躍して、どんどん未来への種をまく存在になってくれるんじゃないかなと期待しています」

― 若手の起用に関しては各クラブの意識の変化も大きいように思います。

足立「どのクラブも若い選手を育てていかないといけないという思いは強くなっていますね。期限付き移籍で行かせるのか、自チームで下から育てるのか、さらにアカデミーにも力を注ぐのかというのはそれぞれ模索中だと思いますが、次世代の選手を育てなきゃいけないという意識はどこも高まっています」

― 現在はU-21リーグ創設の構想が進んでいるとのことですが、Jリーグとしてはどのような取り組みを考えていますか。

足立「U-21リーグ創設の構想は目的が大きく2つあって、一つがポストユースの強化です。高校卒業後にJリーグで出場機会がなく、ポテンシャルを発揮できずに終わっていた選手も、もしかしたら試合に出ることで20年間活躍できるような選手になるかもしれません。またもう一つの目的は16歳、17歳くらいでも飛び級で活躍できる選手に、90分の真剣勝負ができる環境をつくるということです。」

― 欧州のU-21リーグは飛び級の選手も多く見られますし、トップチームやU-19との掛け持ちも機能しているように思います。

足立「例えば広島では高校3年生で18歳の中島洋太朗がトップチームで試合に出ていますが、彼は高校年代の高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグWESTの試合にも出ています。同じ世代の井上愛簾も、Jユースカップの準決勝に出て、翌日にはトップチームのアウェイゲームの浦和レッズ戦に帯同して、それからU-19日本代表のメキシコ遠征に行って、帰ってきてからAFCチャンピオンズリーグ(ACL)2のフィリピン遠征に行って、またプレミアリーグWESTに出て……という日々の中でいろいろなゲーム経験ができています。ただ、彼らが19歳になって高校年代の試合がなくなると、後はJリーグだけになってしまう。中島のような同世代のトップ選手でもJリーグに限れば長くて30分程度の出場時間ですよね。果たして19歳のトップ選手が週1回、30分の出場で良いのかどうか。もしU-21リーグがあれば、そこで90分間の出場時間を担保でき、1週間に合計120分間のチャンスが出てきます。他の16歳、17歳のスーパーな選手たちもU-18よりもレベルの高い、厳しい環境でチャンスが与えられます。これまでポストユースの育成は大学に依存していて、大学で試合に出ているからこそどんどん上に行っているといえますが、中には4年間は長いという選手もいます。そこにはいろいろなパスウェイがあって、U-21リーグが合う選手もいるでしょうし、大卒でプロに入る選手も、高卒でプロに入って違うカテゴリーに期限付き移籍で行く方が良い選手も、海外にポンと行ってみた方が良い選手もいる。U-21リーグありきではないですが、パスウェイをわれわれが一つしっかりと持つことで、ユース以上・プロ未満の場所をつくってあげたいという考えで議論をしているところです」

― U-21リーグ創設の議論ではどのような点を重視していますか。

足立「やはり真剣勝負の場であることです。一つの大会としてお客様にも見てもらい、一つのパスでゴールを決めるとか、一つのミスで失点して負けるとか、時には厳しい目にさらされながら、時には拍手をもらいながら戦わないといけない。その環境づくりをどうしていくかが大事です。ユースからトップの間というのは各国を調べてみても、みんな同じようなところで悩んでいます。でもそこに向き合った国が上のレベルに行っている。もしU-21リーグが立ち上げられなかったとしても、ユース以上・プロ未満の選手たちにどう刺激を与えるかという施策を打っていくことは間違いなく必要だと考えています」

― そうした取り組みを通じ、Jリーグの将来像をどう見ていますか。

足立「われわれとしてはまずJリーグという作品をどう作っていくかが大事で、これは揺るぎないものです。その上で『5大リーグにどう立ち向かっていくか』という課題があります。そのためにも若い選手にどう刺激を与えるか、今いる選手とどう融合させていくのかという環境づくりが重要だと思います。僕自身、広島のミヒャエル スキッベ監督など外国籍監督とも一緒に仕事をしましたが、彼らの意見はみんな同じで『5大リーグのすぐ下はJリーグだ』、『Jリーグはもっと自信を持ってやった方がいい』と。だからまずはそこに自信を持ちつつ、しっかりとJリーグの中身を上げていかないといけないと感じています。その点、神戸のケースがすごく印象的ですが、5大リーグに行った選手が帰ってきてJリーグで活躍して、レベルを大きく上げてくれています。ただ、今後はもしかしたら10代後半で海外に行って20代半ばで帰って来るという形で、そのターンがより早くなるかもしれないなと思います。またもう一つの動きとしては、世代別の代表に海外在住の選手もいますよね。彼らは5大リーグに簡単に行けないのは分かっていて、中にはJリーグでやってみたいという選手もいるようです。例えばそんな選手がユースまで海外でプレーして、トップチームはJ1でスタートして、そこから5大リーグを目指すという例も出てくるかもしれません。5大リーグのサイクルの中にJリーグがどう入っていくかが鍵になると思っています。Jリーグはその可能性を持っているリーグになっていると思いますし、Jリーグから出てきた日本代表選手があれだけ活躍していて、FIFAランキングも上がってきている。日本には金の卵が間違いなくいて、それを育てるポテンシャルもあるリーグなので、そこをどう活かすかに向き合っていけたらと思っています」

― 5大リーグのサイクルに入ることで、移籍金収入も含めた選手育成の循環が生まれることも期待されます。

足立「目の前にはシーズン移行が迫ってきていて、若い選手がどんどん海外に出ていってしまうのではないかという懸念も耳にします。もちろんわれわれとしても積極的に外に出したいわけではありませんし、選手はクラブの財産です。ただ、外に出すからには高い金額で売るべきというのがわれわれの思いです。クラブにはそういう意識も持ってもらいたいと思っていますし、一つの土台となるプロABC契約も変えました。今が歴史の変わり目だと考えています」

― 2026年からのプロABC契約の見直しは、Jリーグの歴史においても一大改革だと思います。どのようなきっかけで見直しに至ったのでしょうか。

足立「プロABC契約が策定された25年前はクラブ経営の安定化が必要な時期で、出場機会の少ない選手の年俸が高いということも指摘されていました。そこで金額の基準と人数制限をセットで考えて導入されたのがプロABC契約です。ただ、それから25年がたって世界の競争環境も変わってきた中で、世界に勝つためにも選手の待遇が低いことは是正しようという動きになりました。また議論の中では、25年の間にバスケットボールやバレーボールのプロ化もあって、他の競技と比べてもJリーグを競争力のあるものにしていこうという話も出てきました」

― 選手の待遇改善に加えて、プロ選手の人数制限緩和も重要なテーマですね。

足立「人数制限についてはこれからもっと議論をしていきますが、最近は選手側も『試合に出られるクラブに行こう』という見る目が肥えてきていて、ある程度は変更しても良いフェーズに来ているのではないかと思います。もちろんプロABC契約の改革だけで海外との競争に勝てるとは思っていませんが、人数制限は2年後、3年後に向けて完全撤廃も含めて継続検討していきたいと考えています」

― プロABC契約の撤廃によって、どのように変わることを期待していますか。

足立「まず期待するのは、規制緩和によってクラブがどう色を出すかだと思いますね。われわれとしては外国籍選手枠に関する議論もしていますし、必ずしも選手育成だけを考えているわけではないのですが、地元に根差したクラブをつくるんだというスペインのアスレティック・ビルバオのようなチームがあってもいいと思います。逆に勝つためにたくさんの選手を集めるクラブがあってもいい。そういった個性的な色を出す機会につながるのではないかと思います。規制緩和の中で、各クラブがいかに自分たちの予算を守りながら、どういう選手を育ててチームに集めていくかが楽しみだなと感じています」

― 強化部門の勝負になりますね。

足立「とりあえずトップチームに上げようとか、とりあえず選手を取ろうとか、もうそういう時代ではない。スカウトもGMも身を粉にして、目を皿にして見ていくことが求められる時代になると思います」

― 強化部門からすると大きなパラダイムシフトだと思います。長年その立場に立っていた足立ダイレクターから見て、どれくらい困難なミッションだと思いますか。

足立「難しい仕事だと思いますよ。例えばビッグクラブが1,200万円をポンと出せる選手に、他のクラブは600万円しか出せないということもあると思います。ただ、逆にまだまだ見落とされている選手は必ずいます」

― チーム編成の変化に関しては、シーズン移行も前向きな転換点にしていく必要がありますね。

足立「これでスケジュールは世界のスタンダードにそろいます。そうなると逆に言い訳できなくなるので、この準備期間のうちに意識を高めていくことが大事だと思います。強化も海外の強化担当との競争になり、海外からGMが来る可能性もありますし、すでにそういった動きも出てきています。日本の強化担当も世界で戦えるよう、Jリーグでもきちんと方向性を持ってサポートしていきたいと思います」

― 来シーズンの展望は。

足立「フットボールの面では良い選手をたくさん出し続けることが一番だと思います。Jリーグの価値を上げるためには選手の質、指導者の質を上げることが大切で、実際にそうした意識はシーズン移行の議論を通じて現場に広がってきて、意識が上がってきたのは間違いないと思っています。意識が上がらないと、環境を変えても現状は変わらないので、われわれとしては良い選手を育成することに意識を向けながら、そのために引き続き環境をつくっていくことが大事です。移籍をするときには高い金額で移籍をしてもらう、そのお金で選手を獲得してチーム基盤をしっかりつくる、そうしたビジネス規模をもうワンランク上げられるようなアプローチをリーグ全体で行っていくことに向き合う大事なシーズンになると思います」

― 2024年はJリーグのフットボール委員会にJFAの扇谷審判委員長が加わり、JリーグとJFA審判委員会が深く協働する画期的なシーズンでした。この関係性はどのような経緯で実現したのでしょう。

足立「Jリーグでは今、野々村芳和チェアマンの下、Jリーグをどのような作品にしていくかという取り組みを進めている中で、良い作品を作っていくためにはレフェリーの皆さんとも一緒になって取り組む必要があるということで始めました」

扇谷「レフェリーは独立したものとして見られがちですが、リーグの方にも審判に関する議論に入っていただいたり、審判の研修会に参加していただいたりすることで、お互いの理解が進んできていると感じます。どうしてもレフェリーのジャッジについてはネガティブな面が注目されやすいですが、良い試合をつくろうという目標は一緒だということで、協働することができて非常にありがたいと感じています」

― Jリーグの立場として審判の現状をどう感じていますか。

足立「僕は2023年までクラブ(広島)にいましたが、審判のことは正直見えない部分が多かったんです。フットボール委員会が発足して、審判ともどういう作品を作っていくかということがテーマに上がってきた中、扇谷さんはかなり各クラブに足を運ばれていて、ありがたいと感じていました。その中で僕もいろいろ意見したこともありましたが、これからより変われるのではないかなと思っています。審判も競技者であり、人なのでミスはあるけど、それは選手やチームも同じです。そういうときに人として話し合って認め合えれば、わだかまりもなく次に進めるわけです。そういった環境ができ始めていると思いますね。シーズン移行を前にJリーグ全体が新たなフェーズに来ている中で、歴史が変わり始めた1年になったと思います」

― 審判の立場から見て変わったことはありますか。

扇谷「シーズンを通して耳にするのは、Jリーグの方やクラブの方がより審判に声を掛けてくださるようになったということですね。小さいことかもしれませんが、研修会や試合会場で控室に来てくださったり、ピッチチェックで声を掛けてくださったりというのは本当に心強いことです」

足立「僕も実際に思ったのが、試合前後に選手と審判が整列するじゃないですか。そこで今までにないくらい、選手が笑顔で審判団と握手を交わす場面が見られるようになったと思います。そういったところからもお互いの信頼関係が生まれ始めていると感じています」

扇谷「あと、これは細かいことですが、研修会などで審判の補食が話題になって、それからクラブスタッフの方が用意してくださることがあるんです。現役審判員から『こんなにやってもらえるとは』という声を聞いています。そういったことも含めてありがたいシーズンだったなと思います」

― 外からは見えにくい部分なのでとても興味深いです。レフェリーの質について、今後の課題を教えてください。

足立「扇谷さんとも話しているのですが、これからの若い審判員、特にサッカー観の高い、選手出身の審判員をどう養成していくかは一つのテーマです。フットボールのトレンドが進んでいる中、審判の方々にレベルを上げてもらっているのも事実ですが、さらに一緒に高めていきたいと思います」

― 海外との交流プログラムによって、海外の審判員がJリーグを担当する試合もありました。

扇谷「交流はまだまだ増やしていきたいと思っています。もっと日本のレフェリーを育てないといけない部分もありますが、カタールでのFIFAワールドカップを担当したイスマイル(・エルファス/アメリカ)のような世界のトップレベルのレフェリーから学ぶ機会は必要ですし、また海外の若いレフェリーも非常に魅力的で学ぶことが多いです。ACLに出場するチームにとってもアジアのレフェリー、特に中東のレフェリーは知っておいた方がいいと思うので、Jリーグに協力していただきながらより取り組みを広げられればと思います」

足立「日本人はまだ海外のレフェリーに慣れていないので、リーグとしてもすごく良い刺激をもらいましたし、クラブからも前向きなフィードバックがありました。海外のレフェリーは基準がはっきりしている傾向があるので、そこは日本人の審判員にも学んでもらいたいですね」

扇谷「まさに一番考えさせられたのは、試合でレフェリーがどう存在感を発揮し、ゲームをコントロールするかでした。日本人同士だと言葉も通じるし、いろいろなことも言えるのですが、海外のレフェリーはそうはいかない。ただその中でも彼らがどのようにコミュニケーションを取りながら、試合を成立させていくか。ただ90分で終わらせるのではなく、どう試合の魅力を引き出すか。その点は非常に考えさせられました」

― おそらく審判の基準の違いもあると思いますが、日本人審判だったら抗議を受ける場面でも、海外の審判だからこそ受け入れられていたような試合もありました。選手の姿勢も異なるように思われましたが、どう感じていますか。

足立「僕もそれは少し感じていて、選手も意識を変えないといけない部分があります。もちろん日本人レフェリーの方々にも凛としたものを持っていただきたいし、基準をスパッと見せてほしい部分はあります。ただ、われわれがもっと呼び掛けていかないといけないと思うのは、選手がプレーを続ける姿勢ですね。トップレベルの選手は倒れても笛が鳴らなければすぐ立ち上がってやるわけです。お客さんも含めてそういうところに感銘を受けるだろうし、われわれもレフェリーに求めるだけではなく、そういった基準を高めていきたいです」

― 日本人主審が海外で笛を吹いた試合もありました。

扇谷「彼らにとっても海外でジャッジをする経験は必ずプラスになると思っています。アジアサッカー連盟(AFC)や国際サッカー連盟(FIFA)のアポイントだけでなく、海外の試合やセミナーに行かせていただきました。コパ・アメリカ(南米選手権)の直前にはメキシコ対ボリビアの親善試合にJリーグとJFAが協働して、荒木友輔主審をはじめとする審判団を派遣しました。あれくらいの規模のフレンドリーマッチはそうそうないですが、そういった試合を今後もできればと思います」

― 今のJリーグは海外を意識することでレベルアップを目指していますが、その点は審判も同じですね。

足立「やはりチームだけ、選手だけではレベルアップできませんし、レフェリーも一緒にレベルアップしないと国のレベルは上がらないと思います。若い審判員を育成していくというところでも、選手と同じように基準を高めないといけないと思うので、JリーグとJFAが協力してその環境をつくっていきたいですね」

― 審判員のレベルアップという点では待遇改善も必要だと思います。

扇谷「シーズン移行に向けて、レフェリーサイドとしてはJ1主審のプロ化を目指すということも一緒になってやっています。非常に大きいのは、フットボール委員会などでJリーグの方々とそういった点を率直に話せる関係になったことです。審判だけでなくいろいろなことを話せるし、知ることができて、そこで審判のことも話しています。われわれはそういった環境に対して、どう結果で応えるかを求められていると思います。待遇については海外との比較もしながら、Jリーグと議論を進めていますが、僕らは求めるだけでは駄目です。もっとレベルの高い競争をつくっていき、もっと若いレフェリーを育てていかないといけない。より良い作品を作っていく役目を担っていく必要があると思います」

足立「僕らとしても歩み寄っていろいろな話をすることで、いろいろなことを知ることができる。例えば飲水タイムの話で『主審の方はなかなか水を取れませんね』という話になったのですが、そこからフットボール委員会でも話題になって、選手が審判に水を手渡す光景を目にするようになりました。そういったところで少しずつ景色が変わってきたのは非常に大きいと感じています。扇谷さんにフットボール委員会に入っていただいて、さまざまな話し合いをしながら理解し合う意識が出てきたので、これを機にもっともっと前に進んでいきたいと思っています」

文 竹内達也

プロフィール

公益社団法人 日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)

フットボールダイレクター 足立 修/あだち おさむ

サンフレッチェ広島で22年間強化やスカウトを担当した後、2024年にJリーグ入社。フットボールダイレクターとして、フットボールの魅力向上に向けたさまざまな取り組みを推進している。

公益財団法人 日本サッカー協会(JFA)

審判委員長 扇谷 健司/おおぎや けんじ

1999年から2017年までJリーグや国際試合で審判員として活動した後、2022年にJFA審判委員長に就任。日本の審判員の強化に取り組んでいる。

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