SEASON REVIEW 2024

JP
mainimage

FOOTBALL

選手育成

Jリーグは2024年、育成領域においてさまざまな取り組みを推進した。本ページではその中から、Jクラブのアカデミーにおける国内および国際的な活動の支援、新たな大会方式でのJユースカップの開催、Jリーグインターナショナルシリーズ2024 アカデミーマッチの3つを紹介する。

アカデミーでの国内および国際的な活動の支援

Jリーグはアカデミーの領域において、「選手および指導者の成長」、「再現性のあるアカデミーの仕組み構築と発展」、「Jリーグアカデミー全体の底上げ」という3つの目標を掲げている。その目的に沿った「世界基準をクラブ内に構築するための選手や指導者の国際経験の機会創出」ならびに「選手が定期的な試合経験を積むための国内における試合環境の構築」に関連する活動に対して、Jリーグは「アカデミー活動助成金」の支給を通じて支援を行った。結果として、2024年は合計44クラブ、82の活動を支援した。海外遠征や海外視察、国際大会の主催、国内大会の主催などその活動は多岐にわたるが、その中から具体的な事例として東京ヴェルディ(U-14スコットランド遠征)、ロアッソ熊本(U-17イングランド短期留学)の活動を紹介したい。

東京ヴェルディ U-14スコットランド遠征(海外遠征)

東京ヴェルディ ジュニアユース(U-14の選手18人、スタッフ4人)は、2024年7月30日(火)から8月8日(木)までの10日間、スコットランド・エディンバラへの海外遠征を行った。現地ではエディンバラを本拠地とし、スコティッシュ・プレミアシップに所属するハイバーニアンFCとの合同トレーニングやトップチームの練習見学、スコットランドの各クラブとの練習試合などを経験することができた。
同遠征の目的は、海外での経験を通したサッカーおよび人間力の成長を促すことと、ハイバーニアンFCとの交流の2点であった。参加した選手からは「サッカーへ取り組む姿勢や意識が大きく変わった」、「自分にとってサッカーを改めて考えるきっかけとなった」などの声が上がった。また、スタッフ同士の交流促進や、言語の違いを体感することで、語学学習の必要性を感じた点など、さまざまな面で今後に向けて意義のある活動となった。

mainimage

©TOKYO VERDY

ロアッソ熊本 イングランド短期留学(小グループでの海外活動)

ロアッソ熊本U-17の選手2人、スタッフ2人は、2023年12月31日(日)から2024年1月18日(木)までの19日間、イングランド・プレミアリーグのチェルシーFCへ短期留学を行った。留学期間中は充実した施設でU-18、U-21カテゴリーのジムトレーニング、フィジカルトレーニング、ボールトレーニング、紅白戦などにそれぞれ参加した。また、ユースカテゴリーのダイレクターからアカデミーの歴史やビジョン、スカウト、コーチの育成、U-21の監督からはトレーニングプランやチームの規則、試合の振り返り方やコーチの関わり方などについてそれぞれ学び、それらを通して多くの学びとクラブが成長するためのヒントを得ることができた。

mainimage

新たな大会方式によるJユースカップの開催

主にU-15~U-17を対象にした「2024Jユースカップ 第30回Jリーグユース選手権大会」では、新たな大会方式を導入した。1stラウンドではJ1・J2・J3の全60チームと日本クラブユース連盟から推薦された4チームの合計64チームを、4チームずつ16グループに分けて総当たりのリーグ戦を行った。2ndラウンドでは1stラウンドの結果で上位リーグと下位リーグに分けて16グループでのリーグ戦を実施。ノックアウトラウンドでは2ndラウンドの上位リーグを勝ち上がった8チームにより、トーナメント戦を行った。

この大会方式の変更は、本大会の趣旨「それぞれの成長速度に応じた最適な試合機会を提供する」に沿ったものである。ノックアウト方式のトーナメントだけでなく、リーグ戦もしっかり行うことで試合数を確保し、選手の成長機会を増やした。また、チームとしても柔軟な選手起用が可能になった。
実際に本大会では、普段の活動では最上級生としてプレーすることが多いU-15年代の選手が、年上の選手たちとプレーすることで新たな刺激を受けたり、オーバーエイジとして出場したU-18年代の選手が自分の経験を後輩たちに伝えながら、自分らの課題とあらためて向き合ったり、U-16/U-17年代の選手たちがチームの中心としての自覚を深めたりと、選手たちがそれぞれの課題を克服して成長する姿を見ることができた。

Jリーグインターナショナルシリーズ2024 アカデミーマッチ

「Jリーグインターナショナルシリーズ2024 アカデミーマッチ」を、7月26日(金)に「Jリーグ選抜U-15 vs.トッテナム ホットスパー U15」、8月2日(金)に「Jリーグ選抜U-15vs.ニューカッスル ユナイテッド U15」のカードでそれぞれ開催した。公益財団法人日本サッカー協会(JFA)と協働の下、 各クラブのアカデミーから選抜された40人の選手たちは、チームメートや対戦相手となった同世代のイングランド・プレミアリーグのクラブに所属するアカデミーの選手たち、小野 伸二コーチ、中村 憲剛コーチをはじめとするスタッフ陣から、さまざまな成長機会を得ることができた。参加した選手からは、「海外のトッププレーヤーたちの身体能力の高さやプレー強度を体感し、その中で自分たちがどうすべきかを考えながらプレーすることができた」といった声が上がった。また小野 伸二コーチからは「彼らが今回の経験を通して何を感じてくれたかが大事だと思う」、中村 憲剛コーチからは「多くの人に試合を見てもらえたこと、日常的には試合出来ない対戦相手と試合が出来たことなど、全てが選手たちにとって、すごくいい経験だったと思う。今回の取り組みが選手たちの飛躍するきっかけになれば嬉しい」といった声が上がった。

mainimage
mainimage
対戦カード
(結果)
開催日 スタジアム
Jリーグ選抜U-15 VS. トッテナム・ホットスパーU15
(3-1)
7月26日(金) 西が丘サッカー場
Jリーグ選抜U-15 VS. ニューカッスル ユナイテッドU15
(7‐3)
8月2日(金) 秩父宮ラグビー場

世界で活躍する選手を輩出し続けるために

Jリーグは育成領域において、①海外を含めた試合環境の整備、②選手育成ができる優秀な指導者の育成、③再現性のあるアカデミー環境(仕組み)構築の3つに注力をしている。今回紹介した事例以外にも、指導者、テクニカルダイレクター、アカデミーダイレクターを対象にした研修、イベントなども含めてこれら3つの向上につながる取り組みを推進している。日本サッカーのトップ層を担うJクラブのアカデミーは、世界で活躍する選手を輩出しなければならない。継続的に世界で活躍する選手を輩出し続けるために、これからもさまざまな取り組みを継続的に行っていく。

mainimage

CATEGORY

RELATED POSTS