SEASON REVIEW 2025

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FAN ENGAGEMENT

ホスピタリティ(プレミアム)ビジネスの拡大に向けて

ホスピタリティビジネスとは

空間×コンテンツ×サービスの調和が生む特別な体験ができる高付加価値チケットの企画・販売・運営事業

取り組み背景
①ホスピタリティビジネスを取り巻く環境
欧米ではホスピタリティ(プレミアム)ビジネスが収益の柱として確立され、経済・社会価値を創出し、拡大がさらに加速している。
近年の欧米スタジアム改修におけるトレンドは「ホスピタリティエリアの拡張」
ホスピタリティ席の全席に占める割合も、現在のJリーグでは約1%程度だが、北米のプロサッカーリーグMLSでは平均的に20%を超え、改修により益々拡大傾向にある。
日本においては人口減少トレンドにより、今後は「量(来場人数)」以外に「質(消費単価)」と向き合うことが必要になってくる。
ホスピタリティのターゲットとなる高額消費層(成長法人、中小企業オーナー、高所得層など)は、日本でも増加傾向にありポテンシャルがある。

※参照、出典:Global Sports Hospitality Market Insights, Forecast to 2029 QYR 社 2023 年

②Jリーグの収益実態と世界との差
一方で現在のJリーグ・Jクラブホスピタリティ事業は、Jリーグ独自のクラブ調査から推定するとホスピタリティ関連収益規模は、イングランドプレミアリーグの約6%に過ぎないのが現状である。
③ビジネスが持つ特性とポテンシャル
成長分野であり収益インパクトが大きい一方で、未開拓領域であり、ビジネスの確立にあたってはJリーグ・Jクラブ全体としての課題感もある。
これらを背景に、中長期的なJリーグ全体の収益拡大に向けて、ホスピタリティビジネスには大きな伸びしろがありながらも、取り組めていないクラブが多いのが実情である。そこで、リーグが旗振り役としてこのポテンシャルと現状のギャップを埋めるべく「事業マーケティング本部 ホスピタリティビジネスチーム」が主管となって「ホスピタリティビジネス推進プロジェクト」をスタートさせた。

※参照:デロイトトーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社 令和5 年度スポーツ産業の成長促進事業「スポーツホスピタリティ推進事業」成果報告書(公表詳細版)2024年3月

各クラブの課題とニーズ
課題はクラブによって大きく異なり、既存サービスの抜本的な変更を伴ったり、複数の部署が関与したりと複雑である。

各クラブ担当者へのヒアリングなどをもとに、プロジェクトの基本方針・計画を策定し、最もニーズの高かった「情報支援」を最初のステップとすることにした。

「ホスピタリティビジネス推進プロジェクト」の基本方針、計画
<2025年に本格始動>
  • ・クラブ支援:情報支援からスタート→クラブ有志で参加するホスピタリティビジネスラボ設立
  • ・Jリーグ知見の蓄積→Jリーグ主管試合でのホスピタリティチケットの販売、運営

2025シーズンの取り組み
クラブ支援

① 勉強会

ホスピタリティビジネスに関する有識者や、既にホスピタリティビジネスに着手しているクラブ担当者を招へいし、ビジネスの基本的な概念や、クラブにおける事例を学ぶ勉強会を実施。
2025年は計4回実施し、今後も継続的に実施予定。

② 視察会

ホスピタリティベニュー、ビジネスの先進事例を現地で学ぶ企画。
2025年は、新スタジアムの開業を機にホスピタリティビジネスに着手したV・ファーレン長崎のホームスタジアムである、PEACE STADIUM Connected by SoftBankで実施。

③ ナレッジシェアの仕組みづくり

コミュニケーションツールを活用し、世界の好事例などを共有できる仕組みを整えた。
クラブ支援の成果
初年度は、ラボに51クラブが参加。各クラブにおける関心度が向上しており、ホスピタリティビジネスへの着手を検討するクラブも増えている。
一方で、さらなる情報提供のニーズに応えるべく、2026年も引き続き情報支援に注力する方針。新たに法人向けホスピタリティビジネスの分野での、クラブ間ノウハウ共有の仕組みをつくっていく予定である。

2025シーズンのトピックス

Jリーグが自らホスピタリティビジネスを実践し知見を蓄積すべく、JリーグYBCルヴァンカップ決勝でのホスピタリティチケット販売・運営を行った。

実施概要

4種類のプレミアムプランを展開

1.PLATINUM(プラチナム)

表彰式見学、バスアライバル、記者会見場見学が独占でできる希少なプラン。

価格(税込) 150,000円
サービス
  • ・特別エリア席(クッション付)
  • ・専用入り口
  • ・ラウンジでのブッフェ・フリードリンク
  • ・バスアライバル
  • ・表彰式見学
  • ・記者会見場見学
  • ・ピッチサイドウォーク
  • ・トロフィー見学
  • ・クラブOB訪問
  • ・非売品グッズ

2.EXPERIENCE(エクスペリエンス)

ピッチ真横で選手のウォームアップ見学や試合後ピッチサイドウォークができる希少体験プラン。

価格(税込) 65,000円
サービス
  • ・特別エリア席(クッション付)
  • ・専用入り口
  • ・ラウンジでのブッフェ・フリードリンク
  • ・ウォームアップ見学
  • ・ピッチサイドウォーク
  • ・トロフィー見学
  • ・クラブOB訪問
  • ・非売品グッズ

3.LOUNGE(ラウンジ)

国立競技場のクッション付き特別エリア席&ラウンジでブッフェ&ドリンクが堪能できるプラン。

価格(税込) 50,000円
サービス
  • ・特別エリア席(クッション付)
  • ・専用入り口
  • ・ラウンジでのブッフェ・フリードリンク
  • ・トロフィー見学
  • ・クラブOB訪問
  • ・非売品グッズ

4.GOURMET CLUB(グルメクラブ)

スタジアム横の明治公園内フレンチレストランで特別なブッフェ&ドリンクが堪能できるプラン。

価格(税込) 45,000円
サービス
  • ・特別エリア席(クッション付)
  • ・専用入り口
  • ・外部レストランでのブッフェ・フリードリンク
  • ・クラブOB訪問
  • ・非売品グッズ
得られた成果

チケットの販売予定数のうち80%を販売。チケット全体における販売枚数としては1%ながら、売り上げはチケット収益のうちの10%を占めるなど、想定以上に良好な実績を得た。

また、お客さまアンケートでは選手OBと交流ができるOB訪問などのアクティビティや、ラウンジの空間に対する評価が高かった一方、ラウンジの飲食サービスや導線管理に改善の余地があることなどがうかがえた。

今後の展望
Jリーグの主管試合において自らトライアルをすることで知見を深め、そのノウハウを各クラブとシェアし、Jリーグ全体のビジネス推進を図る。

※掲載情報は2025年12月22日時点のものです

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