アカデミー教育プロジェクト

世界でもっとも人が育つリーグへ

2030フットボールビジョン達成に向け、フットボール人材の育成の仕組みをつくるために、教育について考えることはとても大切です。Jリーグは日本サッカーの水準向上を目的として、ライフスキル(毎日の生活での問題や課題を前向きに解決する方法)を高める世界水準のキャリア※教育と、Jクラブの教育をサポートするための教育プログラムを提供しています。さらにProject DNAでは、人材育成プロジェクトと教育プロジェクトが連携し、ライフスキルを高めるプログラムをクラブ内で進められるヘッドオブエデュケーションを養成し、プロ選手としてのキャリアをスタートしたばかりの新加入選手の新人研修からアカデミーに所属する選手のアカデミー教育まで、Jクラブすべての選手の教育をサポートしています。

※「キャリア」の意味は、「人が,生涯の中で様々な役割を果たす過程で,自らの役割の価値や自分と役割との関係を見いだしていく連なりや積み重ね」(文部科学省ホームページ、www.mext.go.jp、キャリア教育の手引き、15ページ)を参考にしています。

アカデミーセーフガーディング

Jリーグでは、すべての人々が安全で安心してサッカーに関われることがとても大切だと考えています。アカデミーの選手育成プログラムとつながるアカデミー教育では、アカデミーで行うことすべてが安全に行われること、つまりセーフガーディングの大切さも学びます。

Jリーグは、クラブやアカデミーとともに、サッカーに関するすべてのプログラムや活動に関わる全ての子ども、若者、大人のセーフガーディングを促進する文化を確立するために取り組む責任と必要があると考えています。Jリーグはアカデミー評価制度に「セーフガーディング」の項目を含めることでこれを達成したいと考えており、各クラブが適切な基準を保つためのガイドラインを提供し、ベストプラクティス最新情報を共有するためのワークショップを2020年から開催しています。

セーフガーディングの取り組みはProject DNAの6プロジェクト全体に関連する非常に重要な要素ですが、Jリーグでは、教育プロジェクトがこのセーフガーディングを推進しています。

Jリーグが主催する選手教育

・Jリーグ新人研修会
1993年以来、毎年開催している新人研修は、年ごとに内容が洗練されて重要度を増している先進的な教育プログラムです。Jクラブのアカデミー、高校あるいは大学から新たにJリーグへ加入するプロ、アマチュア選手にとって不可欠で、選手に価値ある基盤や選手に期待されることに関して明確なガイダンスを提供し、選手の行動や振る舞いがJリーグをどのように代表しているかを理解する一助となる研修内容となっています。

・Jリーグ版よのなか科ファシリテーター養成講習会(2011~2019年、2020年は中止)
2011年以来、Jリーグは年間を通したJリーグ版のよのなか科ファシリテーター養成講習会をアカデミーのスタッフに向けて開催してきました。Jリーグ版よのなか科は、いわゆる「アクティブラーニング」の手法を用いて、主にU-14年代の選手を対象とした全5回の授業で構成されていますが、その授業を実施できる人材をJリーグが養成し、各クラブの人材でJリーグ版よのなか科を実施できるよう取り組んできました。2019年までに188名のファシリテーターを養成してきました。11年目に入り、2021年からはクラブ内の経験者をメンターとして、自クラブ内でファシリテーター養成を行っています。

・Jリーグ版よのなか科
2010年以来、11年間で50以上のクラブが約6600名のU-14年代の選手に対してJリーグ版よのなか科を実施しました。授業ではJリーグあるいは所属クラブの経営や運営の仕組みを学びながら、その中で選手が果たすべき役割について理解を深めるのに役立ち、将来プロサッカーに関わるかどうかにかかわらず、自分自身がオーナーシップ(自分のことを自分で責任をもって取り組む姿勢)を発揮してキャリアイメージをデザインするために必要な「情報編集力」を身に着け、豊かな職業観を醸成することができます。そしてクラブの社長をはじめとするゲストや、保護者やスタッフも選手とともにそれぞれの考えを深められるよう設計された授業では、ファシリテーターの積極的な問いに対する選手や参加者の考えをグループで共有し、ディベートのような議論も行いながら、最終回ではどのようなプロサッカー選手になるのかという将来のキャリアイメージプランを表現する機会となっています。

・プレ・プロフェッショナル研修(プレ・プロ研修)
U-16年代の選手に対して、2019年以降「プレ・プロ研修」を開始しました。よのなか科を発展させた授業として、U-16年代の選手がクラブのフットボールフィロソフィーを理解し、そのフィロソフィーを実際の活動に反映することの重要性を理解できるように設計された授業です。この授業は、選手の現状とサッカーにおける目標(夢)の間の差を埋めるために必要な要素を認識し、プロサッカー選手を目指す動機づけ(覚悟)を固めることを目的としています。授業では、明確なコミュニケーションを可能にするために選手が自分の考えを言語化することを推奨しており、例えば授業の最後には毎回「振り返り」で終了し、U-16の選手が目標や到達点を書き残すことになっています。これにより、選手は明確なプランを立案し、自身の高い目標を達成するための進捗を確認できる能力を身につけられるようになっています。

これまでの人材育成プログラム

・人材育成およびキャリアサポート事業(1993~2009年)
1993年の開幕初年度より新人研修会を実施するとともに、1999年に将来のクラブ幹部養成を目的としたGM講座を開講しました。併せて、引退した選手が自立して社会生活を営み、現役で活躍している間も充実した選手生活を送ることができるよう、日本プロサッカー選手会(JPFA)と共に選手の将来のバックアップを目的として、2002年4月にJリーグキャリアサポートセンター(Career Support Center、CSC)を設立しました。2010年度よりJリーグを離れる選手のキャリアサポート業務中心から、主に若手選手ならびにアカデミー選手を対象としたキャリアデザインを支援する「選手教育」活動に重点をシフトしています。

・人材育成およびキャリアデザイン事業(2010~2018年)
Jリーグは2010年に、文部科学省の委託事業であるキャリアデザインサポートプログラム「Jリーグ版よのなか科」を開始しました。JクラブアカデミーのU-14選手を対象にJリーグやJクラブを取り巻く環境や自らのキャリアデザインについて学ぶ機会を提供し、職業観の醸成に努めています。2013年には「人材教育・キャリアデザイン」チームを設けて業務を集約し「キャリアデザイン」と「人材育成」の2つの業務を推進しています。1993年から継続中の新人研修会は、クラブスタッフと一体となって研修内容の改善を図り、トップチームの実態に即したプログラムを提供しています。
そして2019年より、Jリーグは選手教育事業をProject DNAのプロジェクトの1つと位置付けています。