アンチ・ドーピング

あなたは、アンチ・ドーピングについてどのようなことを知っていますか。

ドーピングとは何か。
なぜ、ドーピングをしてはいけないのか。
そして、ドーピングをすると、どうなってしまうのか。

アンチ・ドーピングについて知識を持ち、日々高い意識を持つことは、一流の選手であるために重要なことです。
アンチ・ドーピングについて知識を身に付けることの大切さを知り、あなたが一流の選手として活躍することを願っています。

ドーピングとは?

自分の力以外の不正な手段によって、競技能力を高めること

スポーツ選手が、勝利や記録の達成を目指すために何をするでしょうか。
きっと、毎日努力してトレーニングをしたり、日頃から体のケアに気をつけることでしょう。

でも、もっと簡単に、そして自分で努力すること以外に、スポーツ選手として優れた体を手に入れることができるとしたら・・・。
例えば、特殊な薬を飲んだり、注射を打つことで速く走れたり、長い時間良いプレーをすることができるようになるかもしれません。
そのような、自分が本来持っている能力以外の不正な手段に頼ること、そして、それを隠すことが「ドーピング」になります。

薬を飲んだりする以外にも、けがや病気の治療の仕方がドーピングになることもあります。
Jリーグをはじめ、FIFAワールドカップ、オリンピックなど、さまざまなスポーツ大会では、選手がドーピングをしないように、またドーピングをしている選手を見つけるために、「ドーピング検査」を実施しています。

検査でドーピングであることを隠すこともドーピングになるのです。


なぜドーピングはいけないのか。

サッカーだけでなく、スポーツの価値を下げる

ルールを尊重すること、仲間を大切にすること、強くなろう、うまくなろうと、限りない努力をすること。

スポーツには人々の心を動かす、大きな力があります。

それなのに、もし、不正な力を使ってスポーツをしていたらどうなるでしょう。

ドーピングは、スポーツの価値を下げ、スポーツが持つ大切な力を損なうものなのです。


選手の健康を損ねる

使ってはいけない薬を使うと、副作用や後遺症で体調を崩したり、命に関わる危険性もあります。

選手の健康を守るためにも、ドーピングは絶対にしてはいけないことです。


アンフェアだから

サッカーに限らず、スポーツはルールに基づいて、自分の能力を尽くして勝敗を競うもの。

だからこそ、見る者を感動させ、夢を与えるのです。

ドーピングをすることは、フェアプレーの精神に反し、スポーツの存在価値を否定するアンフェアな行為です。


薬物違反は「社会悪」

社会の中にも、薬を悪用したり、麻薬などによる薬物汚染などの問題があります。

サッカー選手は、子どもたちや青少年の憧れの存在。

そのような選手が、薬物に頼っていたら、社会にどのような影響があるでしょう。

そうした問題をなくすためにも、サッカー選手は自ら薬物問題に立ち向かい、より良い社会をつくるための模範にならなくてはいけないのです。


ドーピングをした場合

ドーピングをすると、サッカーができなくなる!


  • 海外のプロリーグで、ドーピング検査を拒否した選手が、8カ月の出場停止処分となりました。
    ドーピング検査を受けることは、どの選手にも課せられた義務であり、フェアプレーの証しでもあります。ドーピング検査を拒否したことで、その選手は1シーズンを棒に振ることになってしまったのです。
  • FIFAワールドカップ大会期間中に、ドーピング検査で世界的な有名選手から禁止薬物が発見されました。
    その選手は大会を追放され、彼の活躍を楽しみにしていたファンを失望させ、世界中にいる彼を愛する人々を悲しませることになりました。
    サッカーファンのみならず、世界中の人々に衝撃を与えた、悲しい事件の一つです。

このように、ドーピングによってサッカーができなくなるばかりでなく、サッカーファンや、多くの人を悲しませる結果になるのです。


ドーピングをしないために

ドーピングの対象になる薬がある

主なドーピング違反は「使ってはいけない薬」を使うことです。
筋肉の力をアップさせる薬、疲れにくい体にする薬、集中力を高める薬など、「使ってはいけない薬のリスト」が「世界アンチ・ドーピング機構(WADA)」によって決められています。
使ってはいけない薬は、薬局で売っている薬や、病院などで処方される薬の中にもあります。
また、飲み薬だけでなく、塗り薬や目薬にも使ってはいけない成分が含まれている可能性があります。
ドーピングをするつもりがなくても、風邪やけがの治療で使ってはいけない薬を使ってしまう可能性があります。


サプリメントにも注意!

使ってはいけない薬の成分は、ビタミン剤やドリンク剤などのサプリメントに入っていることもあります。
「薬じゃないから大丈夫」と思って栄養補給のつもりでサプリメントを飲んだ後に、ドーピング検査で使ってはいけない薬の成分が見つかる場合もあります。
ちょっと風邪気味だから、疲れがたまっているからと、安易に薬やサプリメントを服用すると、ドーピングになることがあります。


知らないうちにドーピングになることも・・・

自分ではドーピングをしないように気を付けているつもりでも、いつの間にか使ってはいけない薬を飲んでいることも・・・。
そして、あなたがドーピングをしたことにするために、誰かがこっそり薬を混ぜていたら・・・。
普段から口にするものにもドーピングにならないよう、十分に気を付ける必要があります。


全ては自分の責任

治療に使った薬や、友だちからもらったサプリメントが原因でドーピングをしたことになってしまったとしても、それは薬やサプリメントを飲んだあなたの責任。
あなたが受けたけがや病気の治療がドーピングと判断されても、それは、その治療を受けたあなたの責任。

もし、あなたが違反をしたという結果が出た場合、処分の対象になるのは、紛れもなくあなた自身です。
「知らなかったから」では済まされないのです。


けがをしたり、病気になった場合は

必ずチームドクター、または専門的な知識を持ったドクターに相談しましょう

WADAの「禁止表」には、たくさんの「使ってはいけない薬」や「してはいけない行為」が載っています。 けがや病気になったら、必ずチームドクター、または専門的な知識を持ったドクターに相談して、ドーピングにならないような治療をしてもらいましょう。 薬を飲む時も、それが「使ってはいけない薬」ではないか、必ずチームドクターや専門家に確認しましょう。


どうしても「使ってはいけない薬」を使わなければならない時は

そのような時は、治療目的に使う許可を得るために「TUE(治療目的使用にかかる除外措置)申請」をして、承認を得る必要があります。
けがや病気の治療をする時は、薬や治療方法だけでなく、TUE申請についても、ドクターと相談しましょう。

※TUE:Therapeutic Use Exemptions


一流の選手であるために

アンチ・ドーピングの知識を身に付けることは、優れた選手であることと同じくらい、一流の選手として必要なことです。
どんなにサッカーがうまくて、どんなに試合で良いパフォーマンスをしても、それだけではプロのサッカー選手とはいえません。

ここで紹介したことは、アンチ・ドーピングに関する知識のほんの一部です。
一流の選手であるために、日頃から知識を身に付けて、ドーピングをしないために、細心の注意を払い、努力する必要があります。

プロのサッカー選手は、チームを応援するファン・サポーターに夢や感動を与える存在であり、子どもたちの憧れの存在です。
そうあるために、そして何より、社会の一員として行動するためにも、身に付けなくてはいけない知識があります。
ドーピングについての知識を身に付け、日頃から優れた選手になるための努力をすることは、一流の選手になるための第一歩です。


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