クラブライセンス
Club License
クラブライセンス制度の発祥は、ドイツサッカー連盟が制定した、クラブのリーグ戦への参加資格を審査する制度にあると言われています。この制度を基に、欧州サッカー連盟(UEFA)がUEFAチャンピオンズリーグ出場クラブへの審査制度を導入し、大会の価値向上に成功したことから、大会出場クラブを審査する「クラブライセンス制度」は世界的に広まり、国際サッカー連盟(FIFA)がクラブライセンス制度を採用したことを受け、アジアでも導入されることとなりました。 アジアでは、アジアサッカー連盟(AFC)がAFCチャンピオンズリーグの参加資格を審査する基準として、2013シーズンよりクラブライセンス制度を導入することを決め、加盟各国サッカー協会に同制度の整備を通達しました。これを受けて、日本サッカー協会とJリーグは2012年2月1日より日本国内向けのクラブライセンス制度を施行しました。
日本のクラブライセンス制度は、ドイツと同様にリーグ戦に参加するための資格要件となっており、Jリーグに参加を希望するクラブは定められた基準を充足してクラブライセンスの交付を受けることが必要です。 J1およびJ2クラブライセンスの交付を受けるための審査は、AFCが各国に提示している制度概要にJリーグが必要な修正を加えた「J1・J2クラブライセンス交付規則」に基づいて実施され、J3クラブライセンスの審査は、Jリーグが独自に制定した「J3クラブライセンス交付規則」に基づいて行われます。 「J3クラブライセンス交付規則」は、「J1・J2クラブライセンス交付規則」と連動しているものではなく、AFCのライセンス制度からも独立していますが、将来的にJ3クラブがJ1・J2昇格を目指すことを考えて、J1・J2クラブライセンス制度における基準のレベル等がある程度意識できるように制定されています。
クラブライセンス制度導入の目的は大きく分けて「サッカーの競技水準や施設的水準の持続的な向上」「クラブの経営安定化、財務能力・信頼性の向上」に集約されます。サッカーがより魅力的で、観客やパートナーなどのステークホルダーに信頼されるスポーツを目指すことが示されています。
Jリーグのクラブライセンス制度では、J1・J2・J3リーグのいずれにも参加できる「J1クラブライセンス」、J2・J3リーグに参加できる「J2クラブライセンス」、J3にのみ参加できる「J3クラブライセンス」が用意されています。 J1・J2・J3クラブであれば、いずれのクラブライセンスにも申請可能です。Jリーグ入会を目指すクラブは、J3クラブライセンスを申請することができます。J1・J2クラブライセンスは、Jリーグとは独立した第三者機関(クラブライセンス交付第一審機関:FIB)による審査が行われ(J2は2025シーズンのクラブライセンス判定(2024年9月)から)、その判定結果によりいずれかのライセンスが交付されるか、不交付となります。また、FIBによる判定結果に不服があり規定の要件を満たすクラブは、同じくJリーグから独立した第三者機関(クラブライセンス交付上訴機関:AB)に対して上訴を行うことができます。一方J3クラブライセンスは、Jリーグの理事会で審議されてライセンス交付の可否が決定されるほか、上訴の制度はありません。
ライセンス
クラブ数
対象クラブ
J1
49
札幌・岩手・仙台・秋田・山形・いわき・鹿島・水戸・栃木・群馬・浦和・大宮・千葉・柏・FC東京・東京V・町田・川崎F・横浜FM・横浜FC・湘南・甲府・松本・新潟・富山・金沢・清水・磐田・藤枝・名古屋・岐阜・京都・G大阪・C大阪・神戸・岡山・広島・山口・讃岐・徳島・愛媛・福岡・北九州・鳥栖・長崎・熊本・大分・鹿児島・琉球
J2
11
八戸・福島・YS横浜・相模原・長野・沼津・FC大阪・奈良・鳥取・今治・宮崎
J3
(7)
(ラインメール青森・栃木シティフットボールクラブ・クリアソン新宿・ヴィアティン三重・レイラック滋賀・高知ユナイテッドSC・ヴェルスパ大分)
ライセンス
クラブ数
対象クラブ
J1
49
札幌・岩手・仙台・秋田・山形・いわき・鹿島・水戸・栃木・群馬・浦和・大宮・千葉・柏・FC東京・東京V・町田・川崎F・横浜FM・横浜FC・湘南・甲府・松本・新潟・富山・金沢・清水・磐田・藤枝・名古屋・岐阜・京都・G大阪・C大阪・神戸・岡山・広島・山口・讃岐・徳島・愛媛・福岡・北九州・鳥栖・長崎・熊本・大分・鹿児島・琉球
J2
10
八戸、福島、YS横浜、相模原、沼津、長野、奈良、鳥取、今治、宮崎
J3
1(5)
FC大阪(ラインメール青森、クリアソン新宿、ヴィアティン三重、レイラック滋賀、ヴェルスパ大分)
Jリーグクラブライセンス制度では5つの審査基準が設けられ、合わせて57項目で構成されています。これらの基準のそれぞれに「A」「B」「C」の等級が付されており、Aに位置付けられた項目を一つでも充足しないクラブにはライセンスが交付されません。
競技基準:育成部門の整備や選手との契約締結義務など(7項目)
施設基準:スタジアム、練習場の確保やそれらのスペックなど(17項目)
人事体制・組織運営基準:部門別担当者の配置など(19項目)
法務基準:競技規則、Jリーグ規約の遵守義務など(6項目)
財務基準:適法かつ適正な決算、監査の実施など(8項目)
Jリーグクラブライセンス制度では5つの審査基準が設けられ、合わせて57項目で構成されています。これらの基準のそれぞれに「A」「B」「C」の等級が付されており、Aに位置付けられた項目を一つでも充足しないクラブにはライセンスが交付されません。
「A」等級 達成が必須。達成しなければライセンスが交付されない。
「B」等級 達成しなかった場合は、制裁が科された上で、ライセンスが交付される。
「C」等級 達成が推奨されるもの。ライセンス交付には影響しない。
ライセンスマネージャー
クラブライセンス事務局 ライセンス関連規程の作成、制度の運用、AFCとの窓口、クラブとのコミュニケーション・サポート(Jリーグ職員によって構成)
ライセンス評価チーム 一次判定前のヒアリング 調査、クラブ経営のコンサルティング、調査結果のクラブライセンス事務局、F I B への報告等(監査法人、税理士等に委託)
第一審機関(FIB)
ライセンス交付の可否決定、B基準に抵触したクラブへの制裁決定、シーズン中のライセンス取消・制裁、クラブに対する是正指導の通知(必要な場合)(弁護士、公認会計士、有識者に委任)
上訴機関(AB)
FIBの判定に不服があった場合の上訴機関(弁護士、公認会計士、有識者に委任)
Jリーグ理事会
ライセンス関連制度の承認・決定、FIB、ABの任免、委任、クラブライセンス事務局との情報共有
法務委員会
Jリーグ全体の法務的諸問題に対応、助言(有識者で構成)
クラブライセンスは1年更新のため、クラブは毎年申請を行います。申請は6月末に締め切られ、7~8月に審査を行い、9月末までには第一審によるライセンス交付判定が出されます。
J1、J2、J3クラブの主な資格要件は、Jリーグクラブライセンス上の資格要件と、Jリーグ規約第3章「Jクラブ」に定められた資格要件の両方を満たす必要があり、同規約に定められた入会金および会費を納入する必要があります。
J1クラブ・J2クラブの入れ替えについて
(1) J1における年間順位下位3クラブがJ2に降格し、J2における年間順位上位2クラブおよびJ2における年間順位3位から6位のJ2クラブが参加するJ1昇格プレーオフに優勝したJ2クラブがJ1に昇格する。
(2) 前項の定めにかかわらず、J2における年間順位上位2クラブのJ2クラブの中でJ1クラブライセンスの交付判定を受けられなかったJ2クラブがあった場合は、次のとおりとする。
① 当該J2クラブはJ1に昇格できない
② J2における年間順位上位2クラブのJ2クラブのうち、J1クラブライセンスの交付判定を受けたJ2クラブが1クラブの場合、当該J2クラブがJ1に昇格し、J1の年間順位下位2クラブがJ2に降格する。ただし、J2における年間順位3位から6位のJ2クラブがいずれもJ1クラブライセンスの交付判定を受けていない場合、J1の年間順位最下位のクラブのみがJ2に降格する
③ J2における年間順位上位2クラブのJ2クラブがいずれもJ1クラブライセンスの交付判定を受けていない場合、J1の年間順位最下位のクラブのみがJ2に降格する。ただし、J2における年間順位3位から6位のJ2クラブがいずれもJ1クラブライセンスの交付判定を受けていない場合、J1クラブとJ2クラブの入れ替えは行わない
(3) 第1項の定めにかかわらず、J2における年間順位3位から6位のJ2クラブの中でJ1クラブライセンスの交付判定を受けられなかったJ2クラブがあった場合は、次のとおりとする。
① 当該J2クラブはJ1昇格プレーオフに参加できない
② J2リーグ戦年間順位7位以下のJ2クラブが繰り上がってJ1昇格プレーオフに出場することはない
③ J2における年間順位3位から6位のJ2クラブがいずれもJ1クラブライセンスの交付判定を受けていない場合、J2における年間順位上位2クラブのJ2クラブのみがJ1に昇格し、J1の年間順位下位2クラブがJ2に降格するほか、前項第2号ただし書きおよび前項第3号ただし書きの定めに従うものとする
J2クラブ・J3クラブの入れ替えについて
(1) J2における年間順位の下位3クラブがJ3に降格し、J3における年間順位の上位2クラブおよびJ3における年間順位3位から6位のJ3クラブが参加するJ2昇格プレーオフに優勝したJ3クラブがJ2に昇格する。
(2) 前項の定めにかかわらず、J3における年間順位の上位2クラブのうちJ1クラブライセンスまたはJ2クラブライセンスの交付判定を受けていないJ3クラブがあった場合は、次のとおりとする。
① 当該J3クラブはJ2に昇格できない
② J3における年間順位上位2クラブのJ3クラブのうち、J1クラブライセンスまたはJ2クラブライセンスの交付判定を受けたJ3クラブが1クラブの場合、当該J3クラブがJ2に昇格し、J2の年間順位下位2クラブがJ3に降格する。ただし、J3における年間順位3位から6位のJ3クラブがいずれもJ1クラブライセンスまたはJ2クラブライセンスの交付判定を受けていない場合、J2の年間順位最下位のクラブのみがJ3に降格する
③ J3における年間順位上位2クラブのJ3クラブがいずれもJ1クラブライセンスまたはJ2クラブライセンスの交付判定を受けていない場合、J2の年間順位最下位のクラブのみがJ3に降格する。ただし、J3における年間順位3位から6位のJ3クラブがいずれもJ1クラブライセンスまたはJ2クラブライセンスの交付判定を受けていない場合、J2クラブとJ3クラブの入れ替えは行わない
(3) 第1項の定めにかかわらず、J3における年間順位3位から6位のJ3クラブの中でJ1クラブライセンスまたはJ2クラブライセンスの交付判定を受けられなかったJ3クラブがあった場合は、次のとおりとする。
① 当該J3クラブはJ2昇格プレーオフに参加できない
② J3リーグ戦年間順位7位以下のJ3クラブが繰り上がってJ2昇格プレーオフに出場することはない
③ J3における年間順位3位から6位のJ3クラブがいずれもJ1クラブライセンスまたはJ2クラブライセンスの交付判定を受けていない場合、J3における年間順位上位2クラブのJ3クラブのみがJ2に昇格し、J2の年間順位下位2クラブがJ3に降格するほか、前項第2号ただし書きおよび前項第3号ただし書きの定めに従うものとする
J3クラブ・JFLクラブの入れ替えについて(J3クラブの会員資格喪失(※)およびJFLクラブのJリーグ入会)
(1)理事会においてJリーグ入会承認を得たJFLクラブが1 クラブの場合
① 当該JFLクラブがJFLのリーグ戦年間順位1 位の場合
●J3における年間順位最下位のクラブとJFL1 位のクラブが自動入れ替え。
●J3・JFL入れ替え戦は開催しない。
② 当該JFLクラブがJFLのリーグ戦年間順位2 位の場合
●J3における年間順位最下位のクラブとJFL2 位のクラブとの間でJ3・JFL入れ替え戦を実施する。
●入れ替え戦に勝利したJFLクラブはJリーグに入会してJ3クラブとなり、敗戦したJ3クラブは会員資格を喪失する。
(2) 理事会においてJリーグ入会承認を得たJFLクラブが2 クラブの場合
① J3における年間順位最下位のクラブとJFL1 位のクラブが自動入れ替え。
② J3における年間順位19 位のクラブとJFL2 位のクラブとの間でJ3・JFL入れ替え戦を実施する。入れ替え戦に勝利したJFLクラブはJリーグに入会してJ3クラブとなり、敗戦したJ3クラブは会員資格を喪失する。
(3) 理事会においてJリーグ入会承認を得たJFLクラブが存在しない場合、J3クラブとJFLクラブの入れ替えは行わない。
※定款第10 条第3号の定めに従い、自動的に会員資格を喪失する。
クラブライセンス判定説明会発言録