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Press Release プレスリリース

2007.12.3

第2回Jリーグ・アカデミー コーチングワークショップ

Jクラブの育成年代の指導者、育成担当責任者を対象とした「2007年 第2回Jリーグ・アカデミー コーチングワークショップ」が12月3日、4日の2日間、JFAハウスにおいて実施されました。今回の講師は、アルゼンチンから招いたウーゴ トカリ氏(59歳)。育成年代の指導者としては世界的に知られ、今年6~7月に行われたFIFA U-20ワールドカップ カナダ2007においては、監督としてU-20アルゼンチン代表を優勝に導いた人物です。

Jクラブで育成に携わる59名の参加者を前に、トカリ氏はアルゼンチンにおける育成の実情や問題点に触れ、指導者としての自らの経験や考え方に照らして、育成のあるべき姿についての持論を述べました。その中ではリオネル・メッシ、カルロス・テベスなど、トカリ氏が実際にかかわったことのある有能な若手選手が実例として登場し、話がより興味深いものとなりました。また、一つのテーマを話し終えるごとに参加者へ質問を募り、多岐にわたる問いかけにも丁寧に、自信に満ちて答えていました。

トカリ氏が育成年代、特に「インファンティル(INFANTIL)」と呼ばれる11~13歳の低年齢層において重視しているのが、基礎技術の習得です。「基礎技術を徹底的に学ばせないと、上の年齢になったときに大きな問題となります」と強調し、戦術はまったく指導しないそうです。このカテゴリーにもフィジカルコーチはいますが、身体強化のためではなく、正しいストレッチの方法を教えたり、走るフォームの修正などを行います。そして「それぞれの子供たちの特徴を理解することが、非常に重要。問題があれば、その場で解決・修正することが必要」と、指導のポイントを述べました。そして「アマテウ(AMATEUR)」と呼ばれる14~20歳になると、当初は技術を磨くことに力を入れますが、次第に戦術練習もトップチームに近い内容となります。

ところで、アルゼンチンの育成組織は11歳の12軍から19/20歳の4軍まで、生年ごとのチームに分かれています。試合時間の違いこそあれ、11人制の公式試合が1シーズンを通して行われています。JリーグもU-13のリーグが始まり、2008年からはU-14のリーグもスタートします。アルゼンチンの育成年代のリーグ戦は、まさに日本がお手本とするべきもので、トカリ氏は「1シーズンに30~50試合ができるようなリーグ戦の必要性」を訴えていました。これは試合で明らかになった問題点を修正し、次の試合に生かすというサイクルを、長期的な視野に立って実践するためです。負けた段階で試合がなくなるというノックアウト方式とは違い、選手たちは数多くの真剣勝負を経験することができ、指導者にとっても過度のプレッシャーから解放されるというメリットがあります。

トカリ氏は2日間のワークショップのほかにも、横浜 F・マリノス、FC東京、柏レイソルの協力を得て、トレーニングや試合を視察しました。横浜F・マリノスでは、トカリ氏がプロ選手時代にマラドーナ選手と一緒のチームでプレーしていたことを知った子供たち(U-10)が、トレーニング後に握手やサインを求めるなど、トカリ氏自身が子供たちに直接指導し触れ合う時間もありました。また、Jユースサハラカップ2007 第15回Jリーグユース選手権大会 決勝トーナメントの試合にも足を運ぶなど、精力的に日本の育成の現場に接しました。そして、「選手たちは技術的に素晴らしい。コーチの力によるところが大きいのでしょう。これからも、子供たちの才能を磨いてほしい」と、Jクラブの育成年代の指導者にエールを送り、「マニュアルだけに頼るのではなく、心を込めて指導してほしい」と繰り返していました。

世界的な指導者による講義は、参加者たちにとっても非常に有意義で、強い刺激となったようです。「育成組織の考え方、取り組み方の重要性を再認識できて良かった」「基礎技術の重要性を再確認し、日本がやらなければならないことも感じることができた」「説得力のある内容で、真理に触れる話だった。今後は、それをアレンジし、伝えていくことがわれわれの仕事だと思う」といった感想が参加者に対するアンケートに寄せられ、「Jクラブの育成担当者が集まり、考え方を共有していく機会を、さらに設けてほしい」など、早くも次回の企画に期待する声もありました。

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