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Press Release プレスリリース

2008.6.16

2008年度 第1回Jリーグ・アカデミー コーチングワークショップ

「Jリーグ・アカデミー コーチングワークショップ」は、Jクラブの育成年代指導者、育成担当者が、外国人指導者の優れた指導哲学や理論を学ぶ機会として、2006年に始まりました。2008年度の第1回は6月16日、JFAハウスで行われ、メキシコよりホセ ルイス レアル氏(56歳)を招き、彼が育成部ディレクターを務めるグアダラハラ・チーバス(メキシコ)の育成における仕組みと考え方を紹介しました。

今回、メキシコの育成に注目したのは、日本人とさほど体格が変わらない彼らの、この20年余りの国際舞台における躍進ぶりに着目したからです。FIFAワールドカップTMにおいては、1994年アメリカ大会から4大会連続のグループステージ突破。2005 FIFA U-17世界選手権ペルー(現:FIFA U-17ワールドカップ)で優勝を飾るなど、トップから育成年代まで目覚ましい活躍を披露し、世界の強豪と肩を並べて戦うだけの実力を備えてきました。レアル氏はかつてメキシコ代表選手としてプレーし、指導者としては、チーバスなどのクラブや、育成年代のメキシコ代表でも実績を残しています。チーバスはプロフェッショナルのトップチームから9歳のチームまで11のカテゴリーに分かれていますが、レアル氏はトップチームを除くすべてのチームを統括する育成の責任者です。

現在、チーバスのトップチームには22名の選手が在籍しているそうですが、そのうちの18名が下部組織の出身者で、さらに4名のレギュラークラスの選手が9歳からの生え抜きということです。育成の重視については、クラブの明確なコンセプトが関係しています。1906年のクラブ創立以来、メキシコ人選手だけで構成するという伝統を守り続けており、自前での選手育成は、ファン・サポーターの支持を得るためにも、財政的な面からも不可欠です。チーバスはクラブのコンセプト、アイデンティティーを非常に大切にし、レアル氏は「それを浸透させるためには若い年代ほどいい」ということから、育成の重要性を「9歳のチームこそ、われわれのトップチーム」という言葉で表現しました。

このほか、講義は選手や指導者の評価、国際経験を積むための取り組み、指導者に必要とされる資質、トップチームの監督やゼネラルマネージャーなどクラブ内のコミュニケーションの重要性といった、育成に関連するテーマの全般に及びました。Jリーグも重視する国際経験については、海外からもチームを招待して「コパ・チーバス」という大会を開催する一方、各カテゴリーが年に一度は国外遠征に出かけるプランを立てています。育成年代から世界の多様なスタイルのサッカーを体験しておくことが、将来に役立つと考えるからです。また、指導者にも子どもたちを教えるにふさわしい資質が求められます。ピッチ上の指導力はもちろん、身だしなみに至るまで、選手たちから信頼を得るだけの人間性を備えることが必要とされるのです。

チーバスはクラブのコンセプトの一つとして、選手にも指導者にも「人間としての価値」を求めています。しかし、決して育成だけに満足しているのではなく、「育てながら勝つ」ことを目指しているのも忘れてはいけません。「両方を追い求めるのは難しいが、強いチームを目指すことに価値があります」とレアル氏。クラブの映像部が制作した育成のプロモーションDVDには、コパ・チーバスの試合における球際の激しいプレーが随所に収録されていました。

レアル氏は50名の参加者を前に、「ここで述べたことは理想ではなく、結果として証明されています。少しでも皆さんの役に立てば、日本に来たかいがあります」とあいさつしました。「チーバスはクラブとして、しっかりした考え方を持って育成に取り組み、有効な投資によって成果を挙げているのが分かりました。『メキシコ人は精神的に弱い部分がある』と現実を直視し、集中力を鍛えるためにヨガを取り入れるなど、興味深い話を聞くこともできました」と語ってくれたのは、ガンバ大阪の上野山信行 取締役 育成・普及部部長。参加者のアンケートにも、「先進クラブから多くを学び、クラブ独自の哲学を持つことが必要だと思いました」「『育成からトップまで』の強い意識があってこそ、実現するものだと思います。一歩ずつ、スタッフが団結して前進したい」などの感想が寄せられ、今後の指導に大きな刺激となったようです。

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