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Press Release プレスリリース

2008.7.1

選手一貫教育 育成センター長研修会

スポーツと人間教育を通じて、子どもたちの心身両面における健全な発育を促すことを目的とした「日本型育成システムの確立」を目指すJリーグ・アカデミーは、普及と育成について実に多彩な取り組みを行っています。その重要なプログラムの一つが「一貫指導体制の充実」。Jクラブに置かれた育成センターが地域の関係諸機関や保護者と連携し、5~21歳という幼時期から青年期の一貫指導を通じ、豊かな社会づくりに寄与することを目指しています。

こうした活動を推し進めていく中で、しっかりとした方針の下、子どもたちを正しい方向に導く指導者の役割が重要なことは言うまでもありません。Jリーグはこれまで、育成の現場をあずかる指導者による「選手一貫教育 指導者研修会」を実施してきました。6月30日~7月1日の2日間にJFAハウスで行われた「選手一貫教育 育成センター長・リーダーコーチ研修会」は、育成の方針や方向性を決定する上で重要な役割を担う育成センター長、それを補佐するリーダーコーチが、目標達成に向けた効果的な仕事の進め方の基本を理解することを狙いとして実施されたものです。研修会は年間5回(STEP1~STEP5)、33のJクラブを三つに分けたグループごとに実施されます。実際のセッションは各クラブの育成センター長とリーダーコーチがペアとなり、4人ないし6人のグループに分かれ、個人ワークからペアワーク、グループワーク、発表というスタイルによって進められました。

第1日目は、外部講師の田中正春氏を講師に「仕事の定義」を確認した後、「目標設定の考え方」「課題設定の考え方」などについて、「大手スーパーマーケット開店の影響で、業績が低迷する独立系スーパーマーケット」といったケースをテーマに、目標設定や課題設定の重要性や手法を学びました。仕事については「作業すること」ではなく、「依頼者を中心とした周囲の関係者の期待に応えながら、自分が実現したいことを、周囲を巻き込んで、成し遂げていくこと」とあらためて定義されました。その後、それぞれのグループ内におけるワークを通じ、目指したい状態を明確にする目標設定、その状態への道のりを明確にする課題設定に取り組みました。

第2日目には、前日の成果を基に育成センター長の仕事とは何なのかを考え、今年度より実施したアカデミーガイドラインに基づいて設定した短期・中期・長期の目標と照合しながら、より具体的な業務計画の立案に進みました。この業務計画は単なるシミュレーションではなく、中期目標である2010年12月に目指したい状態を見据えた上での、2008年12月までの具体的なクラブ内外における普及・育成へのプランです。この業務計画表は今後、クラブ内の目につく場所に掲示されます。それによって、普及や育成の方針、活動計画がクラブ全体で共有されることになります。また、この2日間の研修で特徴的だったのは、「考えたこと」を「書き出す」ことによって「形に残す」ことでした。この作業について、前述の田中氏は「書くためには考えなければなりません。頭を使うことによって、実行力も高まります。また、完成したものが掲示され、他人の目に触れるため、しっかりしたものをつくろうと努力します」と、その効果について話してくれました。ピッチ上でのハードワークという言葉が定着していますが、今回はさしずめ「頭のハードワーク」とも言えるでしょう。

Jリーグ技術委員長を務める山下則之Jリーグヒューマンリソースディベロップメントグループマネージャーは「今回、学んだのは一つの手法で、これがすべてではありません。試行錯誤の中から、クラブによってやり方が変わってくると思います。育成センター長がリードし、タイミングよく修正しながら目標達成への道筋を考えてください。その過程で議論が生まれ、さまざまなアイディアが出てくると思います。大切なのは、クラブの方向性が大きくぶれないこと。それによって、地域の信頼を得ることができます」と、2日間にわたる研修会(STRP1)を締めくくりました。

6月16日に開催された「2008年度 第1回Jリーグ・アカデミー コーチングワークショップ」においても、グアダラハラ・チーバス(メキシコ)の確固たるクラブコンセプトに基づいて行われる育成の成果が紹介されました。子どもたちの成長の重要な時期にクラブがかかわろうとする以上、保護者や地域からの信頼に足る明確な育成プラン、指導方針が不可欠です。それが成果を生んでこそ、「世界で戦えるクラブをつくり、他のスポーツにも波及して、豊かな社会をつくる力になるのでは」と山下氏は話します。

参加者も「新たに気づくことも多く、他クラブの観点の違いも分かり、情報も交換できて新鮮でした」「非常に参考になりました。(学んだことを)クラブ内で発信しながら、計画的にやっていきたいと思います」などの感想を述べ、今後の仕事への刺激としたようです。この研修会で立案した業務計画に基づき、具体化、成果・進捗状況の確認、成果の検討などを進めながら、2009年度の目標立案につなげていきます。

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