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Press Release プレスリリース

2025.10.7

サポーターの違反行為における対応について

公益社団法人日本プロサッカーリーグは、下記の事案について調査を実施の上、裁定委員会へ意見照会を行い対応を決定するとともに、Jリーグにおける今後の対応方針について以下のとおり決定し、実行委員会や理事会へ報告したことをお知らせいたします。

 

【Jリーグにおける今後の対応方針】

事案の発生を受け、今後のJリーグ試合運営管理規程の重大な違反行為への対応方針を以下のとおりとする。

1.    違反行為者へのクラブの法的手段による責任追及を、Jリーグとして支持する旨を表明する。

2.    クラブが法的措置を検討するにあたり、Jリーグが行った調査結果を共有し、追加調査が必要な場合は

本件調査に加わった外部弁護士等と連携する。

3.    今後、重大なサポータートラブルが発生した場合に備え、クラブが実行者に対し法的措置を講じる場合にかかる経済面の支援制度や、来場者の生命や身体が脅かされるような事案が発生した場合の関連制度の在り方に関し検討を行う。

 

別紙 「今後の再発防止に向けて」

 

【発生事案に関する報告】


事案1

 

1.  対象事案   

 

202575日(土)明治安田J1リーグ第23節横浜FC vs. 横浜F・マリノスにて発生した、横浜F・マリノスサポーターによる試合運営管理規程の違反行為

 

2.  調査に基づく主な認定事実

 

(1)     サポーターの主な試合運営管理規程の違反行為

        試合前に場外において、横浜F・マリノスサポーターが行進隊列を組み、侵入が禁止されている規制線をめがけて行進した。隊列は規制線を超えたうえ、キッチンカーが並ぶ観戦者が多く存在するエリアに向かい、隊列内の中ほどから横浜F・マリノスサポーターが発煙筒とロケット花火を複数回発射または投げ入れた(以下、違反行為)。

        投げられた発煙筒のうち1本がキッチンカー付近の看板を直撃し、ロケット花火がスタッフの顔や肩に当たり衣服を損傷するなどした。

        違反行為はタオルマフラーや目出し帽により顔が隠れた状態で行われ、実行行為者の特定が困難であったため、スタジアム内に危険物が持ち込まれる可能性に鑑み、すべてのビジター側の来場者に対し緊急的に手荷物検査が実施された。 

        事案発生後、来場者の安全確保のための状況確認や安全確認、警備体制の強化、緊急的かつ厳重な手荷物検査などの対応を講じたことから、開門時間が大幅に遅延し、ビジター側の来場者の入場がキックオフ後となった。

        違反行為は予め発煙筒やロケット花火を準備して行われた計画的なものであり、さらに事情を知らないサポーターを隊列に巻き込んで大きな集団を形成し、その中から自らの顔を隠すなどして巧妙に行為者の特定を防ぎながら敢行された。

 

(2)     横浜F・マリノス(ビジタークラブ)の対応

        日頃より主要サポーター団体のリーダー各々との対話の機会がもたれ、当該試合前はチームとしての戦況が芳しくない状況下でダービーマッチを迎える実情をふまえた対話や確認が行われていた。

        試合当日、当該サポーター団体に帯同するスタッフを倍増して臨む。

        事案発生後、来場者の安全確保のための状況確認や安全確認、警備体制の強化、緊急的かつ厳重な手荷物検査などの対応、チケット払い戻し方針の協議を初め通常の試合運営に移行するために求められる対応にビジタークラブとして協力した。

        事案発生後、行進隊列に関わった4団体の活動禁止とサポーター73名の無期限入場禁止措置を講じた。

        緊急的な手荷物検査によってキックオフまでに入場が間に合わなかったビジター側の来場者に対し、チケット代金の返金を実施。さらに再発防止策として、一定期間の横断幕、旗、応援グッズの使用を禁止し、現在は横断幕の事前申請制を採用している。

 

3.  リーグによるクラブへの対応

 

上記を含む調査結果をふまえ、横浜F・マリノスを厳重注意とし、さらなるサポーター管理の厳格かつ慎重な体制構築と、違反行為者に対する法的手段による責任追及を強く求めるものとする。

  

補足解説

        横浜F・マリノスはビジタークラブとして「試合の前後および試合中において、ビジタークラブのサポーターに秩序ある適切な態度を保持させる義務」(Jリーグ規約第5122号)に違反しているとはいえず、取りうるべき最大限の次善措置を講じているといえる。

        今回のサポーターによる危険行為は、事前にクラブとサポーター団体リーダーとの対話の中で確認されていた内容を逸脱し、目出し帽等で実行行為者の特定を困難にするといったような計画されたものであり、周囲の来場者の身体の安全を脅かし、重大な被害につながりかねない極めて危険な行為に至った。

        クラブにとって事案の発生の予見は困難であり、見方を変えれば悪質な行為の被害者的な側面もありながら、サポーターの違反行為の危険性や悪質性と、それらが周囲に与えた影響に鑑み、横浜F・マリノスを厳重注意とすることを決定した。なお、横浜FC(ホームクラブ)の対応についてはJリーグ規約第51条違反の点は認められなかった。

        再発防止の観点から、横浜F・マリノスに対する今後の期待として、別途通知のとおり、さらなるサポーター管理の厳格かつ慎重な体制構築と、違反行為者に対する法的手段による責任追及を強く求めることを決定し、リーグと両クラブとで再発防止に向けた対外発信を行うものとする(詳細は別紙参照)。

 

事案2

 

1.  対象事案   

 

202575日(土)明治安田J1リーグ第23節セレッソ大阪vs.ガンバ大阪にて発生した、ガンバ大阪サポーターによる試合運営管理規程の違反行為

 

2.  調査に基づく主な認定事実

 

(1)   ガンバ大阪サポーターの主な試合運営管理規程の違反行為

 

試合前、場外にて以下の行為が発生した。

        ホームクラブの観戦ルール&マナーの禁止行為「集団での移動」に該当する隊列による行進、隊列による進行禁止エリアへの侵入や柵破壊行為を含む、複数の試合運営妨害行為

        ガンバ大阪サポーター複数名が相手クラブサポーター1名へ詰め寄り、そのうち1名が相手クラブサポーターを押し横転させるなどの威嚇・暴力行為

 

(2)   ガンバ大阪(ビジタークラブ)の主な対応

        事前にサポーター7団体を束ねるリーダーと連絡をとり、決起集会等の特別な対応は行わない旨確認。

        試合当日、ガンバ大阪サポーター団体が乗り合うとの情報を得ていた公共交通機関にスタッフが同乗しホームクラブへ情報提供のうえ、スタジアムまでの移動に帯同し状況を注視した。

        試合前、場外で上記(1)に記す事案が発生し、隊列の2か所でもみ合いや遮蔽柵を蹴るなどの違反行為が生じたが、連携不足により一方への対応が出遅れ十分な人数がかけられず、収束に時間を要した。

        事案発生後は、実行者の特定を行い、無期限入場禁止処分を含むサポーターの処分が行われている。

 

3.     リーグのクラブに対する対応

 

上記を含む調査結果をふまえ、ガンバ大阪を厳重注意とし、サポーターコミュニケーションの強化、運営体制の見直し、集団での移動の制限を強く求めるものとする。

 

補足解説

        調査の結果、ガンバ大阪はダービーマッチに備え、7つの主なサポーター団体のうち1つの団体のリーダーと連絡や確認を行い、ホームクラブへ情報提供等の上で、公共交通機関へ同乗し行動を注視するなどの一定の対応がとられていた。

        一方、クラブ側の運営体制の変更やサポーター団体の構造的な変化などにより、関係性の形骸化や対応の不十分さなど複数の要因が重なり、結果として上記(1)に示す行為が未然に防げず発生に至ったものと考えられる。

        これらのことから、ビジタークラブとしての「試合の前後および試合中において、ビジタークラブのサポーターに秩序ある適切な態度を保持させる義務」(Jリーグ規約第5122号)違反に該当するといわざるを得ない。

        一方、事案発生後の処分等の事後対応は速やかかつ適切に実施されており、サポーターによる違反行為の危険性や悪質性の程度、結果の重大性等を総合考慮し、ガンバ大阪に厳重注意を行うことを決定した。

        ダービーマッチというハイリスクマッチであるが故に、より慎重かつ厳重な体制を敷いて万全を期すことが期待される試合において、上記複数の違反行為が行われ、結果的に軽傷ではあったが負傷者も生じたという事実は誠に遺憾である。よって再発防止の観点から別途通知のとおり「サポーターコミュニケーションの強化」「クラブにおける運営体制の見直し」「集団での移動への対応措置」を強く求めるものとする。

        なお、セレッソ大阪(ホームクラブ)の対応についてはJリーグ規約第51条違反の点は認められなかった。

 

(参考)Jリーグ試合運営管理規程 https://www.jleague.jp/corporate/activities/management/


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