Press Release プレスリリース
2025.12.23
公益社団法人 日本プロサッカーリーグは、下記の件について裁定委員会に諮問し、黒田剛(FC町田ゼルビア トップチーム監督、以下黒田監督)氏およびFC町田ゼルビアに対し、下記のとおり懲罰を決定し、併せてFC町田ゼルビアに対し、同種事案の再発防止を期すために必要な措置の実施を依頼しました。
1. 対象事案
黒田監督は、2023年頃からFC町田ゼルビア(以下「本件クラブ」という。)に所属する選手らの前で、自らの意向に沿わない選手がいれば、造反者といった表現を用いて排除する意図を持った発言や、練習中に選手およびチームスタッフの前で特定のコーチに対して大声で怒鳴る行為、懇親会の場でのスタッフに対する暴言等の不適切な発言があった。
2. 懲罰内容
【黒田監督】
・ けん責(始末書をとり、将来を戒める)
【本件クラブ】
・ けん責(始末書をとり、将来を戒める)
3. 懲罰の理由
(1) 黒田監督による前記1の事実(以下「本件違反行為」という。)は、指導者である監督として、自らの配下にある選手、コーチ又はスタッフに対して行った暴言ないし不適切な指導であり、指導者の選手その他チーム関係者に対する暴言を禁じる公益財団法人日本サッカー協会(以下「JFA」という。)の指導者に関する規則第20条第7号及び指導者による不適切な指導を禁じるJFA懲罰規程第34条第2項に違反するとともに、選手その他チーム関係者の尊厳及び価値を尊重すべきことを定める同規則第20条第2号に違反し、JFAの定款及びこれに付随する諸規程を遵守する義務を定めるJリーグ規約第3条第1項に違反する。また、社会的規範を尊重して行動すべき義務を定める同条第3項に違反し、Jリーグの信用を毀損した点において、同条第2項にも違反する。
(2) 本件クラブは、Jリーグ規約及びJFAの定款並びにこれらに付随する諸規程を遵守する義務があり(Jリーグ規約第3条第1項)、配下の監督、選手等の関係者がこれらに違反しないよう管理監督し、仮に違反行為があれば、これを直ちに是正しなければならないところ、後述のとおり、本件クラブは、監督の業務執行を適切に管理・監督し、違反行為を早期に発見して是正するために必要な体制を整備しておらず、内部統制上の不備があったことは明らかである。
4. 懲罰量定に際し参考とした事情
(1) 黒田監督の本件違反行為に暴力等有形力の行使は含まれておらず、規律違反としての悪質性の程度が極めて高いものとはいえない。
(2) 黒田監督は、本件違反行為の存在を基本的に認めておらず、真摯に反省しているとは言い難い状況にあった上、本件違反行為を含む調査対象となった言動に関し、多くのチーム関係者に真実を語ることを躊躇させるような発言を行った。
(3) 本件クラブは、本件違反行為を含む調査対象となった黒田監督の言動に関し、弁護士で構成される特別調査委員会により調査を行った。しかしながら、同委員会による当初の関係者のヒアリングに本件クラブの顧問弁護士を同席させ、黒田監督とヒアリング対象となるチーム関係者が通報内容に関してやり取りすること等を規制しなかったことにより、本件クラブが黒田監督を守ろうとしているとの印象を関係者が持つに至っている。これらは調査対応の不備と言わざるを得ず、チーム関係者の多くに率直な供述を躊躇させる結果となり、真相解明に支障をきたした。
(4) 本件クラブは、メールによる相談窓口を設置していたが、相談に係る事実の確認は本件クラブの経営陣が行うこととされており、本件クラブの経営陣が関与する事象について相談できる相談体制を構築していなかった。
(5) 本件違反行為は強化部のメンバーやコーチ等がいるところでなされており、本件クラブには、早期に問題行為を把握して是正する機会があったのに、本件クラブの経営陣及び強化部から黒田監督に対して注意する等のけん制機能が働かず、外部への通報が行われるまで問題行為が放置、継続された。
5. 適用条項
Jリーグ規約 第3条〔遵守義務〕第1項、第2項、第3項
第133条〔Jリーグにおける懲罰〕第2号
第142条〔懲罰の種類〕第1項
第146条〔両罰規定〕
JFA 指導者に関する規則 第20条〔遵守義務〕第2号、第7号
JFA 懲罰規程 第34条〔違反行為〕第2項
(参考)
Jリーグ規約
https://aboutj.jleague.jp/corporate/assets/pdf/regulation/jleague/jleague_terms_and_conditions.pdf
JFA 指導者に関する規則
https://www.jfa.jp/documents/pdf/basic/br24.pdf
JFA 懲罰規程