SEASON REVIEW 2023

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SUSTAINABILITY

Jリーグ気候アクション

近年の気候変動の問題により、活力ある社会、フットボールを支える、健全な自然環境が揺らいでいる中で、フットボールをこれからも続けていくこと、持続可能な形で発展することを目指し、気候変動の解決と地域創生の重なる領域に取り組み、気候変動問題の解決と同時にJクラブのホームタウンをハブとして地域活性に貢献することを目標とし、Jリーグは気候アクション戦略への取り組みを進めていく。

Jリーグは1991年の創設後、地域と一体となったクラブづくりを重要な活動方針と定め、地方自治体、地域のスポンサー企業、ファン・サポーター、地域のメディア、クラブ運営を支えていただいている数多くの地域社会の皆様と共に、ホームタウン活動や、地域の企業などステークホルダーの皆様と連携した社会連携活動を進めてきた。2018年の開幕25周年を機に「Jリーグを使おう!」を合言葉として、3者以上で共通の社会課題を解決する社会連携活動を「シャレン!」と称し、活動のインパクトをより多く生み出す共創モデルの活動を推進していくことを表明した。

そうした中で、近年非常に激しい雨や台風によってJリーグの試合が中止になるなど、Jリーグが目指す「安心安全な運営」というフットボールそのもの、「安心してお客様をお迎えした試合の開催」自体にも危機感を持たざるを得ない環境となってきた。その事実に目を向け、開幕30周年を迎えた2023年に、自分ごととして気候アクションをさらに推進するため「サステナビリティ部」を新設した。

Jリーグが行う気候アクション戦略の一つ目は「全国ムーブメントをけん引すること」。地球に大きな影響をもたらす気候変動に歯止めをかけるアクションを起こそうというムーブメントをJリーグから広げていくことである。二つ目は「Jリーグがクラブと地域の取り組みを支援すること」。クラブや地域と協力しながら好事例をつくり、横展開していくことである。

気候アクションムーブメントけん引 各地域の活動の後押し
緩和 ファン・サポーター参加型プログラム

環境負荷の低いスタグル/地域内循環促進

2023シーズン公式試合電力由来CO2実質ゼロ

自然環境の保全と再生/雇用創出

スタジアムでの環境ブース出展

再生可能エネルギー(例:ソーラーシェアリング)

適応 飲水タイム

災害時の復旧支援

©EHIMEFC

「緩和」と「適応」という二つの軸で気候変動対策を行っていく。

  • ① 緩和:温室効果ガスの排出を削減し、気候変動を極力抑制すること
  • ② 適応:緩和を最大限実施しても避けられない気候変動の影響に対して、その被害を軽減し、より良い生活を可能にしていくこと
    引用:気候変動対応情報プラットフォーム

2023年の取り組み

カーボンニュートラルに向けた取り組み
カーボンニュートラルに向けた取り組みの第一弾として、2023シーズンの全公式試合のスタジアムで排出しているCO2量の可視化に取り組んだ。

全60クラブの協力の下、提出された会計データからCO2排出量を計算。スタジアムによっては、試合日のみのデータ取得が難しいケースもあり、得られた個別データから推定値の策定にも取り組んだ。その結果、1200試合のCO2排出量は3800トンCO2前後(2023年12月末時点)と算出した。なお、そのうちの約7割が電気由来のCO2となっている。
Jリーグ気候アクションパートナーの丸紅新電力株式会社から提供されるFIT非化石証書および株式会社ユーラスエナジーホールディングス、日本自然エネルギー株式会社から提供されるグリーン電力証書により公式試合の電力を実質再生可能エネルギーとすることで、温室効果ガス排出量ゼロを達成した。

<カーボンニュートラルとは。>
温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させること
引用:環境省ホームページ
気候アクションパートナー新設

「Jリーグ気候アクション」に共感していただける企業・団体と共に、より大きな力で持続可能な社会に向けた活動を実施していくために、新たなパートナーカテゴリーとして気候アクションに特化した「Jリーグ気候アクションパートナー」を2023年に新設した。

Jリーグ気候アクションパートナーロゴ

企業名 取り組み内容
NTTグループ NTTグループの持つテクノロジーを用いて、ファン・サポーターや市民が気候アクションに参加、継続しやすいシステムをつくることで気候変動対策に関する人々の日々の行動変容を実現させる。「TH!NK THE BALL PROJECT」を2023年9月より開始。
明治安田生命保険相互会社 「明治安田×Jリーグの森 ~未来をつむぐ森~」として、森林(神奈川県および山梨県)における森林保全・再生活動を協働で実施。
丸紅新電力株式会社 丸紅新電力株式会社よりFIT非化石証書(※)の提供を受け、2023年2~6月に開催されたJリーグの600の公式試合で使用した電力を実質再生可能エネルギーとすることで、温室効果ガス排出量をゼロにする。 ※ただし、上記期間において、既に再生エネルギー・実質再生可能エネルギー電力を調達しているスタジアムにおける試合を除く
株式会社ユーラスエナジーホールティングス 株式会社ユーラスエナジーホールディングス所有の風力発電所が生み出す電気の環境付加価値を、グリーン電力証書(※)の発行業者である日本自然エネルギー株式会社が証書化したものの提供を受けることで、2023年7~12月に開催のJリーグの600の公式試合で使用した電力を実質再生可能エネルギーとすることで、温室効果ガス排出量をゼロにする。 ※ただし、上記期間において、既に再生エネルギー・実質再生可能エネルギー電力を調達しているスタジアムにおける試合を除く
日本自然エネルギー株式会社
TH!NK THE BALL PROJECT™
NTTグループの持つテクノロジーを用いて、ファン・サポーターや市民が気候アクションに参加、継続しやすいシステムをつくり、Jクラブと各地域に展開することで、人々の環境に関する日常の行動変容を促し、地域活性化を実現するプロジェクト。
ファン・サポーターが気候アクションに参加しやすくなるシステムの開発・提供を目指し、9月からファン・サポーター参加型トライアルを実施。2280人のファン・サポーターに参加いただいた。

日本電信電話株式会社
研究開発マーケティング本部 アライアンス部門 生活文化担当

和田 真一

NTTグループは、持続可能な社会の実現に向けてさまざまな社会課題の解決に取り組んでいます。
Jリーグとは2023年から気候変動問題への取り組みを開始し、多くのファン・サポーターが、気候変動を自分ごとにして、できることから始めて、仲間を誘って大きな効果を出せる、そんな仕組みづくりにチャレンジしています。
2023年9月からは仙台、横浜、北九州でJクラブと一緒にファン・サポーター参加型トライアルを行い、多くの方にご参加いただきました。
その学びを生かし、今後はよりたくさんのクラブ、ファン・サポーター、ステークホルダーの皆様に仲間の輪を広げてまいります。
森林保全活動「明治安田×Jリーグの森 ~未来をつむぐ森~」
「明治安田×Jリーグの森~未来をつむぐ森~」の活動第一弾として、明治安田生命職員と共に、森林整備(間伐・枝打ち・竹林整備)、自然観察やクラフトなどの森林体験を実施した。

明治安田生命保険相互会社
企画部 サステイナビリティ経営推進部長 

来住 慎一

当社は、これまで各地域の社会課題解決に共に取り組んできたJリーグ・Jクラブと、環境・気候問題にも一緒に取り組んでいきたいという想いから、「タイトルパートナー」契約に加えて、2023年7月に「Jリーグ気候アクションパートナー」契約を締結し、森林の再生・保全に向けた協働を開始しました。
10月に実施した神奈川県の「森林再生パートナー制度」に基づく森林保全活動を皮切りに、今後も「明治安田×Jリーグの森」においてさまざまなステークホルダーの皆様と一緒に取り組める活動を展開し、地域の皆様に愛される森林づくりを進めてまいりたいと思います。